1972年に日本人初の自転車世界一周を成し遂げた池本元光さんが、南オーストラリア州のポートオーガスタからパースまで39日間をかけ、総計2,907kmを自転車で横断した。
取材協力:在パース日本国総領事館
池本さんらは、パース到着直後に在パース日本国総領事館で石川達雄総領事に挨拶され、当館内にて本誌記者のインタビューに応じて頂いた。
今回の冒険は、冒険人生最後の挑戦だったと伺っていますが?
池本さん「今回の挑戦は、昨年3月の震災前から準備をしていましたが、横断することで被災地の人たちに何かできないかと考えていました。そこで、まずは震災支援をしてくれたオーストラリアに感謝の気持ちを伝えようと思い、自分が約30年前に考案・設計したセーリング・サイクルを実現することも目的の1つでしたので、帆に“Thank you for supporting Japan”の文字を入れて、その気持ちを伝えました。そして、その帆で受けた大地の風を被災地に届けられればとも考えました。自分にとっての冒険は、人に元気や勇気を与えられるものでもあります。被災地の人に大地で感じた風と共に元気を提供できればと思いました」
セーリング・サイクルはいかがでしたか?
「ハンドル上部に高さ2.4m、底辺が1.2mの帆を張り、風速5.5kmの中、時速19kmでナラボー平原を数回走りました。今回の横断でサポートのため同行してくれた中西君が走行模様の映像を撮りましたが、命がけの部分もありました」
横断達成されたばかりの今のご感想は?
「今日(2月21日)の午前10時半にパースに到着しました。前日の20日、遠くに見えたパースのビル群が目に入った時、“あぁ、もうすぐ終わる”と実感し、感動しました。距離は短かったですけど、今日は楽しいラスト・ランになりました」
今回の冒険で1番大変だったのは?
「気温が47度になった日もありましたが、暑さと64歳の自分の体力、そしてお尻の痛みをどう乗り切るかが大変でした。ナラボー平原は本当にやりがいのあるところでした。自転車での横断は自力だから値打ちがあり、自力でなければこの思いは被災者に伝わらないと思いました」
本当に冒険はこれが最後ですか?
「今は、“もういい”といった感じです(笑)。この歳では、しんどい!お金を出すからやれと言われても、もういいです(笑)。これで一区切りです。今後は、自分が得たものを若い人たちに伝え、後進の指導ができたらいいなと思います」
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約2,900kmを走破したばかりの池本元光さん(右)と中西大輔さん(左)。 |
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石川達雄総領事とメッセージが書かれた帆を広げて。 |
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今回の横断でパートナーを務めた中西さん(手前)。自転車の前で池本さん(奥)と。 |
池本元光(64歳)
自転車冒険家。1968年から4年4ヶ月をかけて、世界53カ国と地域、5万3,000kmを自転車で走破し、日本人初の自転車世界一周を達成。日本アドベンチャー・サイクリスト・クラブの創設者、代表兼理事長。
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