今から4年前、2008年の北京五輪で日本競泳史上初の快挙が生まれた。日本の競泳界で自由形短距離といえば、世界のトップレベルから水をあけられてきた種目である。その自由形で男子200mの予選、準決勝で共に日本新記録をマークし、日本人が初の決勝の舞台に立った。当時を振り返り、「確かに、嬉しかったですよ」と話す、奥村幸大選手。1月17日〜21日にパースのチャレンジ・スタジアムで行なわれた『2012 Swimming WA State Open & Age LC Championships』に参加し、自身3度目の五輪出場を目指し、4月2日からのロンドン五輪出場選手選考会ともなる日本選手権のための調整を行なう奥村選手に話を伺った。
協力:イトマン スイミング スクール / Swimming WA
——昨年12月22日からのシンガポール合宿、そしてこの大会。体調はいかがですか?
「国際大会には16歳から、日本代表は18歳から経験していますが、今の自分の年齢で現役を続けて来られている選手はそう多くはないので、体調維持には気を付けています」
——トップのアスリートとして10年もの間、地位を維持されてきていますよね。
「トップというわけでもないですよ。2011年の日本代表では、北島康介選手が僕より1つ上の先輩で最年長。自分は上から2番目になってしまいましたが…。今回の『イトマン』チームでは最年長です」
——アテネ五輪では、その北島選手らと400mメドレーリレーで銅メダルを獲得していますね。競泳は個人競技といった一面が強いように思いますが、リレーはいかがですか?
「リレーに限らず、競泳はチームスポーツだと思います。今回は、『イトマン』というチームでこの大会に参加し、国際大会では『ジャパン』というユニフォームを着て、『チーム・ジャパン』で参加しますので、個人というより自分はチームという気持ちが強いです」
——将来、競泳選手を目指す子どもたちへ一言お願いします。
「まず、練習場や競技会での人との出会いやコミュニケーションを大切にしてほしいです。そして、周りの人たちの協力があって泳げる、という感謝の気持ちを持つことも。トップになればなるほど、自分だけで泳いでいると思いがちですが、感謝が大切です」
——五輪でメダルを取ったことで、人生変わりませんでしたか?
「正直、変わりましたよ。逆に、取らなかったら、ここまで競泳は続けていなかったと思います。良いパフォーマンスができなくなって、皆が離れて行くということも経験しました。でもそれが、若い頃に経験できたのは良かった。自分が現役を続けられるのもそう長くはないかもしれませんが、今でも出会いを大切に、感謝の気持ちを持ってやっています」
——最後に今の目標をお聞かせ下さい。
「ロンドン五輪に出ることです。僕らがやっている競泳では一番大きな大会で、小さい頃からそれに出たいと思ってやってきているので。今、現役を続けられているのは、その目標があるからかもしれません」
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