[第3節] 準備とパフォーマンス

「けがの予防で、日本では“交代浴”を取り入れていました。冷たい水、温かい水に浸かることで体内の血液を循環させ、乳酸を流し、疲れを溜めない方法です。でも、ここではそのような“交代浴”ができるところがないので、日本で学んできたそのトレーニングによって予防しています。しかし、自分の身体の中は見えない。何かがどこかに蓄積されているかもしれない。けがは確かに怖いです。でも、考えてもしょうがない」

自己の不注意によるものばかりが、けがとは言えない。プロの世界でしのぎを削るということは、相手によってけがを負わされるという可能性も十分あり得る。

「けがをしないために、事前に準備できることはキチンとやる。でも、自分だけ準備していても、けがをもらうこともあります。もらわないためには、特に自分の場合、体が小さく、細いので、体の使い方が大切となります。体の使い方が上手でなければ、それなりにけがをしてしまう。体の大きいオーストラリア人を相手にした時、もし相手がボールを取りに来て、まともに自分も行けば、吹っ飛ばされることは分かりきっていることです。そこで、相手の力を逆に利用して、体を使い、けがをもらわないようにしています」

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