Vol.188/2013/09
|
島の玄関口・菱浦港。対岸の西ノ島には、断崖絶壁で知られる「国賀海岸」がある。 |
海士町は、職員給与削減などで浮いた資金を使って、産業振興やIターンを受け入れる住宅整備を進めてきた。その結果、2010年3月末までに人口の1割を超える257人のIターン者を迎えた。
一方で、地元の若者の活動は停滞していた。
民宿を経営する山内弘行さん(40)は1996年、8年暮らした関西から帰郷した。青年団は休眠状態で、異なる年代が知り合う場がない。不健康だと感じて04年、U・Iターン者20人でNPO法人「海士人(あまじん)」を結成した。
体験型スポーツがスキューバダイビングしかないことに目をつけ、シーカヤックの体験コースを開拓した。海士出身の大阪のデザイナーに頼んで「海士人」と描かれたTシャツやトレーナーを発売したら、人口の3倍の年間8,000着を売り上げるヒット商品になった。町中心部から遠い集落で開く「出張ビアガーデン」は、集落の人々との交流の場になった。「ゼロからの立ち上げはしんどかったが、いろいろな人と知り合い、横のつながりができた」。