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  チャーリーの怒鳴り声が休憩室の壁に響きました。
  「また、めそめそし始めやがって、ガキのくせに背伸びするからこんなことに巻き込まれちまうんじゃねえか。」
  「違うよ、チャーリー。僕、うれしいんだよ。決してびびって泣いてるんじゃないからね。」
  「いずれにしてもだ。オレはこれから下調べに行ってくる。相手は1人じゃ無いかもしれない。だから、こっちもそれなりの準備が必要だってことなんだよ。」
  チャーリーは僕の頭を撫でながら、「いい子にしてろ」と言い残して出かけて行きました。

 その晩、チャーリーは帰って来ませんでした。10時までには戻ってくるとドロシーに言い残して出て行ったことから、翌朝、つまり土曜日の朝になっても帰って来なかったということは、彼に何かが起きたとしても不思議ではありませんでした。

  僕はお店が終わると、TAXIをつかまえてチャーリーの残してくれたメモにあるアレキサンドリアの海運倉庫に向かいました。
  「こんな時間にあんなところに何しに行くんですか?」
  さすがにドライバーが行くのを躊躇し出したので、僕は始めに50ドル札を渡して安心させてから、倉庫の住所を伝えたのでした。
  「すみません、気を使って頂いて。いやね、よくあの辺りは事件が多いものですから。“あっしら”仲間内でもよく売上をやられたりするもんですからね。なにしろ週末は人が歩いていないところでしょう?まあ、仲間内じゃあボタニー、カーメルと合わせて魔の三角地帯って呼んでるんですがね。それで、お兄さんの場合は何か忘れ物でも取りに行くわけで?」
  僕は疲れを感じながらも、今はこのおじさんの力さえもぞんざいに出来ないんだと思い直しました。