僕達は握手を交わしてから、ピーターの後に続いてテラスハウスの中に入って行きました。
 家の中にはカーテン以外、何も残っていませんでした。
 「2階も見ていいですか?」
 ピーターに尋ねると「好きなだけ見ていってかまわないよ」と言いながらモーバイルのダイヤルを回して、たぶんガールフレンドが相手なのでしょう、楽しそうにおしゃべりを始めました。
 僕は厚いカーペットの敷かれた階段を上って、あの夜2人が過ごしていたと思われる2階の寝室に入って行きました。注意深くクローゼットの中や続き部屋になっている化粧室を調べましたが、

 

 すでに清掃も終わっているらしく、MADISONはおろか、それに関係する手がかりらしいものさえ何も見当たりませんでした。
 2階を調べ終えた僕は1階に戻って居間とキッチンを見て歩きました。
 キッチンに続く小さな裏庭にカーポートが見えました。カーポートの中にも、もう何も見当たりませんでしたが、ガレージの角の柱に車のこすった跡らしい濃い緑の塗料が残っているのを見つけました。僕は急いで塗料の部分をナイフで削り落とすと、用意していた小さい密封式のビニール袋の中に入れてポケットにしまいました。

   


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