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 MADISONのモーバイルの線は消えました。 キャシーズに着くと僕はチャーリーを拾って、表に待たせていたTAXIでキングスクロスに向かいました。そして車が動き始めてから急いでこれまでの経緯を説明しました。
 「ちょっと待てよ、MORIO。はっきり言ってオレには関係ねえ話だぜ。」
 「分かってるよ、チャーリー。MADISONのことなんて何も頼んでなんかいないよ。頼んでいるのは僕のことだよ。これからジェザの家に行く。君には絶対に迷惑かけないことを約束する。ただ、もし15分しても僕が家から出てこなかったら警察に連絡して欲しいんだ。それだけだよ。」
 チャーリーは生唾を飲み込んで、前を向いたまま返事をしませんでした。

 

 ジェザの家の1ブロック手前でTAXIを降りた僕とチャーリーは、そのまま坂道を下って行きました。途中のテレフォンボックスにチャーリーを残してから、僕は一気にダッシュしてテラスハウスの前庭に入っていきました。サンドストーンの石畳を抜けて、グリーンのドアの前に立ち、何も怖がることは無いと自分に言い聞かせてから呼び鈴を鳴らしました。
 少し様子をうかがいましたが、中からの反応はありませんでした。今度はさっきよりも長く呼び鈴を鳴らし続けましたが、やはり何の反応もありませんでした。
 表の通りに戻りながら建物の2階を見上げると、ベランダの奥の厚いカーテンに覆われたフレンチドアが見えるだけでやはり人の気配はありませんでした。