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 別に僕が服を脱ぐ必要は無いようにも思いましたが、ただでさえ過敏になっているところに違和感のある服で近づくよりも彼女の知っているはだかの僕の方がいいように思えたのです。毛布の中でMADISONはあえぎながら苦しそうに背中を丸めていました。
 僕は頃合いを見てはMADISONの唇を押し開くようにして、口移しに水を飲ませていきました。MADISONの口の中にまだ血の味が残っていました。僕は震え出しそうになる自分を抑えながら、だいじょうぶ、だいじょうぶ、と部屋の暗闇に向かって繰り返し続けたのでした。
 その晩から2日間、発作との戦いが続きました。
 翌々日の深夜を過ぎるあたりから次第に峠をこし始めたMADISONは、ときどき思い出したように

 薄目を開けると、 「MORIO、頭が痛いの」と少し口をきけるようにもなってきました。固く折るようにしていた背筋も次第に自然体に戻っていくのが分かりました。そして、ついにくつろいで眠ることができるようになったらしく、小さくいびきをかき始めたのでした。
 
規則正しいいびきの音が、禁断症状の荒海を乗り切ったことを伝えていました。MADISONのからだを支えた右腕は、もうとっくに感覚を失ったままでした。
 ほほを流れる暖かい涙の筋に、神の祝福が宿っていたと言ったら大げさでしょうか?
  「MADDIE、おまえもう絶対やるなよ。」
  聞いているはずも無い彼女の寝顔につぶやきながら、いつかあとを追うように僕も深い眠りに落ちて行ったのでした。

つづく