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 それが終わるとペットボトルの水をベッドの脇に並べてから、いったん呼吸を整えてバスルームの中に入って行きました。
 それはまるで昔見た精神病棟の映画のシーンのような凄惨な眺めでした。MADISONは明かりの消えたままのバスルームの隅の、トイレとタイルの壁の狭い空間に裸のからだをコの字に折り曲げて押し込みながら、肩を震わせてうずくまっていました。
 そしてタイルの上には嘔吐した汚物と血液が、あたりかまわず飛び散っているのでした。僕は注意して興奮させないようにMADISONに近づくと、恐る恐る彼女の名を口にしました。少しの間、狭い浴室の中を重い沈黙が支配していました。

 やがて顔を上げた彼女は、まるでそれまで僕が一人にしてしまっていたことを責めるように「怖い、怖い、怖い」とうなるような叫び声を上げ始めました。
 「MADDIE、僕だよ、MORIOだよ。」
 MADISONはからだを固くしたまま、僕の差し出した手を振り払って叫び続けました。
 「だいじょうぶ、MADDIE、僕だよ。」
 僕はそう繰り返しながら次第に彼女に近づいて抱きかかえると、叫び声が少しおさまった瞬間を逃さずに、トイレの隙間から引っ張り出して一気にベッドまで運びました。ベッドに横にして毛布をかけてから、僕も急いで服を脱ぐと毛布の中に入りました。