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Barefoot in the Creek

 

 最終的には1932年の10月、恐慌の最中に、膨大な労力を注いだ農場を私たちは後にした。父は前途多難であることを承知していたが、最善を尽くしてきたこともわかっていて、堂々と顔を上げて開拓地を去った。

 この物語の題辞として引用したバイロンの "English Bards and Scotch Reviewers"からの一節は、不可思議にもこの物語によく一致している。

 私を征服しようとするものは不屈の敵に出会うであろう。

この言葉は、時が経てば元の姿に戻り、長い間放置されればそこに人が生息していたことを完全に消し去ってしまうような、

 容赦なく人間の侵入を阻む頑強なブッシュへの挑戦を意味しているのか。あるいは、1930年代に自然とその経済構造に対して全く勝算のない戦いを執拗に挑んでいた開拓民のことを意味しているのか。どちらの意味を選ぶのかは読者にお任せするが、集団開拓民の物語には幾分劇的で英雄伝説的な要素がある。何か悲劇的でさえあるが、見逃すことのできないものであった。