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明日は来る It wasn't my day today, but tomorrow will come.
Vol.178/2012/11

第7回「プロフェッショナル」


 パースに来たばかりの山田と初対面した時、こんな質問をしたことを思い出す。「(プロチームとまだ)契約に至っていない今、自身にとっては生活、収入ありきのプロフェッショナルなのか?それとも、プロフェッショナルを目指すことが先なのか?」「生活が先です」と山田は即答した。生活があるからプロでいられ、その生活を支える収入はサッカーで得るのだが、生活がちゃんとしてなければ、サッカーは満足にできない。両輪の関係でもある。
 「プロは周りの評価によって、初めてプロとなる」とも話す山田。山田にとっての10年目のシーズンは、初挑戦のオーストラリアで、新しい環境でボールを追いかけたわけだが、変わらず楽しむことはできなかったし、悔いの残るシーズンだった。ここ近年では最もかもしれない。
 “悔しい”と“克服”の繰り返す山田も「プロであるためには周りの評価がなければならない」と断言する。

 山田には今まで、憧れたサッカー選手はいなかった。子どもの頃にも自分の中のヒーローはいなかった。山田は自分のプレースタイルを分かった上で、目指す選手がいなかった。自分のプレースタイルは、自分だけのもので、誰かを真似る必要もないと思ってきたからだ。
 選手は、誰しも長所を持っている。その長所がたくさんあれば、武器が増える。例えば、ドリブルやシュート、パスまでもが長所といった高いレベルでの競い合いがプロの世界となる。ただ、そのプロの世界でも、ドリブルやシュートは得意ではないが、パスだけは誰よりも優れている、といったたった1つだけの武器で他を凌駕することができる選手も稀にいる。山田の目指すところは、長所の数ではなく、1つのストロングポイントで勝負することで、今までもそうやってきている。一対一の対人の強さが山田のストロングポイントだろう。

 貪欲なまでに、勝負にこだわってきた山田。それはプロというステイタスではなく、レベルの高い競い合いに挑むことで、信念を通してきた。その高いレベルが、偶然にもプロの環境だったのかもしれない。「どうせプレーするのなら高いレベルで」と話す山田ではあるが、過去の在籍チームから冷遇された時もあった。「自分が試合に出なければチームは負ける」とまで思ってきたが、試合への出場機会のため、移籍という手段も使ってきた。短期の在籍チームを入れれば、10チームになる。10年目で10チームでプレーしたことになる。