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【新型コロナウイルス関連】レストランやカフェで働けば最大一年間はビザの延長が可能に。学生ビザの20時間も撤廃。


 

この度、オーストラリアではコロナ禍における一時的対応措置としてビザに関する取得可能セクターや条件の改正が行われました。今回は、その改正についてビザの専門家にお話を伺いました。
 
新型コロナウイルス感染拡大防止のためオーストラリアでは、国境や州境の封鎖といった策などを行使し、ウイルス拡大を最小限を抑えてきました。ただ、この封鎖によって国を跨いだ出入国が制限され、滞在期間に限りのあるビザ保有者にとってはオーストラリアに滞在したくても社会保障の援助金が受けられず、また雇用条件が変わって生活するための収入が不十分となり帰国を余儀なくされた人も多かったと思います。

一方、雇用を提供する雇用主側もコロナ禍の影響で事業縮小をしていた昨年に比べ、昨今徐々に回復してきているのにいざこの段階で働いてくれる従業員、つまり“帰国を余儀なくされた人”たちがいなくなってしまい、深刻な『人手不足』が発生しているのが実情です。その人手不足を補うため、オーストラリア移民省が一部のビザについて改正を行いました。

ここでは、パース在住20年以上の移民法コンサルタント(登録移民申請代理人)、鈴木竜一郎さんに今回の改正について説明して頂きました。
 

<オーストラリアのコロナ禍の今の状況が今回の一部ビザ改正に及んだことを説明してくれた鈴木竜一郎さん>
 
※一部写真はイメージです。
 
質問:今回の改正ですが、どんな変更があったのですか?

鈴木さん:「大きく分けて、2点の改正がありました。一つは『Temporary Activity visa(subclass 408)』の取得できるセクターが拡大したこと。そして、学生ビザ保持者の最大労働時間の変更です」
 
 
質問:では、最初に『Temporary Activity visa(subclass 408)』について伺います。『Temporary Activity visa』とは、どのようなビザですか?

鈴木さん:「農業やヘルスケア関連の仕事に就いていた人に対してこのコロナ禍において、その仕事を引き続き従事できるように一年間滞在を延長できるというビザでした。実際、コロナ禍中での人材確保といった目的があったと思われます。今回、その取得できるセクター、つまり農業やヘルスケア―関連以外の業種も取得可能になったという改正です」
 
 
質問:どのセクターが取得可能なったのですか?

鈴木さん:「ホスピタリティとツーリズムになります。ホスピタリティはレストランやカフェなどの飲食業、そしてツーリズムは観光に携わる仕事となります」
 
 
質問:レストランやカフェで仕事をしている、この先もする、またはこれからその業種で仕事をする人が取得できることになったということですか?

鈴木さん:「はい。例えば、学生ビザで滞在していたけどビザが切れる。母国に帰らなければならないけど、学生ビザ延長の選択肢も金銭面の都合で取れない。でも、できるならオーストラリアにもう少し残りたい、という人が飲食業で働くなら一年間、滞在が延長できるということです」
 

 
 
質問:もちろん、学校に通う必要はないですよね?

鈴木さん:「ありません。こういう考え方もあります。今までは、レストランで働くためにはビジネスビザを取得しなければなりませんでした。ただ今回はこのビザを取得すれば最大一年間はレストランで働けるようになります」
 
 
質問:スキルが必要だったシェフではければなりませんか?

鈴木さん:「いえいえ、フロアーで接客するウェイトパーソンでも可能です」
 
 
質問:ちなみに、この状況だと観光業ではそこまで働き手が必要とされていないのでは?

鈴木さん:「確かにそうですね。ただ、ツーリズムなのでホテル業務も含まれることになると思います」
 
 
質問:では、なぜこのような改正に至ったのですか?

鈴木さん:「第一に働き手の人手不足が挙げられるでしょう。特に、レストランやカフェなどのホスピタリティの業界では。それと、母国のコロナ情勢を考えると今は帰りたくないといった人への考慮も若干含まれていると思います。特に今のインドでは、インド国内の状況を考えると帰りたくないといった人も多くいると思うので」
 
 
質問:ワーキングホリデービザ保有者の方にもこの改正は対象になりますか?

鈴木さん:「はい、対象になります。例えば、ワーキングホリデービザのセカンド、そしてサードも終わって、いよいよ帰らなければならいという人にも取得が可能です」
 
 
質問:さて、このビザ取得にはどうすればいいのでしょうか?

鈴木さん:「改正が発表され間もないので実例がそこまでありませんが、まずは働き先から“ここで働きます”といったエビデンスが必要になるでしょう。つまり、雇用主からの正式なレターなどですが、逆に雇用主の会社、例えばレストランがちゃんとした経営状態にあることも大切になりますね」
 

 
 
質問:そして、2つ目の学生ビザ保持者の労働時間の変更についてお聞かせ下さい。

鈴木さん:「学生ビザの方は、週に最大20時間までしか労働をしてはいけませんでした。つまり、20時間までの労働の対価を受け取ることしかできませんでしたが、その20時間が撤廃されました」
 
 
質問:無制限で働けるということですか?

鈴木さん:「もちろん、学校に行かなければなりません。空いた時間で働けるのであれば働いていい、という意味ですね」
 
 
質問:これもコロナ禍における政府の労働力不足を解消する策ですか?

鈴木さん:「おそらくそうでしょう。ただ、例えば看護師になるための勉強をしている学生が医療現場でもっと働いてほしい、といった政府の願いはあると思います」
 
 
質問:しかし、国境が開かない限り、労働力の数は変わらないですね?
鈴木さん:「今回のこの改正は、国境が開くまでの特別措置的な色合いが強いのは確かです。ワーキングホリデーや学生さんたちで成り立っていたビジネスモデルの事業にとっても一時的な人材確保にしかなりませんし、慢性的な人材不足は今後も変わらないでしょう」
 
 
質問:最後に、今回の改正を踏まえて当サイトのユーザーの皆さんへアドバイスをお願いします。

鈴木さん:「今回は、現在のこの異例な事態での一時的な改正かもしれません。今後も改正を繰り返すかもしれませんので、最新の情報へのアップデートを心がけ、ビザのことは専門的なことなので、専門家に相談することお勧めします」
 

<今回の改正は「国境が開くまでの一時的な措置になりますね」と話す鈴木さん>
 
 
【参考】
Temporary Activity visa(subclass 408)のセクター拡大改正(外部リンクへ)
学生ビザ保有者の最大20時間労働制限が撤廃について(外部リンクへ)

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鈴木 竜一郎

鈴木 竜一郎

Japan Australia Settlements代表
1987年、 早稲田大学商学部卒業。 2000年にカーティン工科大学MBA卒業後、 2001年にエディスコーワン大学会計学修士卒業。
□ 登録税務代理人:25479352
□ 登録移民申請代理人: MARN 1173457
□ ファイナンシャルアドバイザー(AFP)
Web:https://www.japan-australia.com.au







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