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【パースエクスプレス・マガジン】在パース日本国総領事 平山達夫氏が離任

在パース日本国総領事館第24代総領事の平山達夫氏が離任することになった。約2年間の任期を振り返って頂いた本誌インタビュー、また離任式の模様をお伝えする。

取材・撮影協力:在パース日本国総領事館
 


2016年9月に着任し、今年10月中旬に帰国予定の在パース日本国総領事、平山達夫氏に公務での思い出や「開かれた総領事館」をどのように実践されたのか、そして西豪州と日本との今後の展望について伺った。


 

-公務の中で、印象に残っていることは何ですか。
 任務に就く前に豪州やパースについてはある程度、知識はもっていましたが、実際に当地へ来てみて、住んでみて、学ばせて頂くことが非常に多かったです。例えばブルームが真珠の関係で、日本との関係が長い町というのは聞いておりましたが、行ってみて、見て、教えて頂いたことで、100年以上も前に日本の先人たちが地域貢献をされていたことを深く学びました。人と出会い、お話させて頂き、勉強させて頂くことは西豪州、そしてパースで宝物を発見させて頂くようでした。良い思い出となっています。
 

-着任前後ではパースの印象は変わりましたか。
 赴任する前の2009年5月に一度だけパースに来たことがありました。天気が良く、キングスパークから見たパースの街並みは本当に綺麗だったという印象です。実際、2016年9月に来てみて、雲一つない青空が何日も続くパースは、本当に良い所だと思いました。観光名所もたくさんありますが、如何せん大きな所なので、行けなかった所があるのは残念だなと思っております。
 

-西豪州とパースの関係はどう感じられましたか。
 戦後、1957年に日豪通商協定が結ばれ、資源の輸出といった道筋ができ、60年代になると日本への鉄鉱石の輸出が始まりました。そこで、鉄鉱石といえば西豪州ですが、日本の戦後復興、その後の高度成長には必要不可欠な資源でした。逆にその鉄鉱石の採掘のために日本からの投資、そして輸出は西豪州の経済を発展させたと思います。つまり、お互いがウィン・ウィンの経済関係を作ることができました。資源やエネルギーに携わっている現地の方たちと話す機会がありましたが、皆さん、引き続き日本の重要性について話されていますし、実際に年に何回も日本に行かれたりしているようなので、日本との関係性の深さを感じております。

 また豪州全体として、日本への関心が高いことは存じていましたが、日本に興味のある現地の人たちが日本の武道に代表する伝統から、音楽やファッションなどの新しいことまで、日本を表現して頂いているといった印象も受けました。これは素晴らしいことだと思います。
 

-今後、西豪州と日本との関係で期待されることは何ですか。
 文化面では、兵庫県と西豪州の姉妹関係に代表されるように西豪州は日本の各自治体と盛んに姉妹都市交流を行っております。教育面も学生交流が盛んに行われています。また、鉄鉱石や天然ガスのような資源・エネルギー系以外にも、うどんを作るための小麦などの農業、投資などの金融面も注目されています。今後も更に幅広い関係の構築を期待しています。

-日本の外務省は“開かれた公館”を目指すと掲げていますが、まさに「開かれた総領事館」を実践された総領事のおひとりだと当地の邦人たちは感じていると思います。そうなるため、苦心されたことはございましたか。

 いろいろなところに行って、行った先でどなたが、どのようなことをされていているのかを知り、学びたいと常日頃思っています。個人的な興味もありますし、楽しみたいという気持ちもあります。日本の代表として、呼んで頂いたら伺って、なんらかの貢献ができればと思っておりました。どの公館でも行われていることであり、特別なことをしてきたとは思っておりませんが、もしそう思って頂けているなら良かったなと思います。
 

-最後、当地に住む邦人の皆さんへ一言、お願いします。
 まず、2年間大変お世話になりました。オーストラリア全体が多文化社会でいろんな国の文化や人たちがいる中、やはりこれからもパースや西豪州の日本人コミュニティが団結して、協力することが重要ではないかと思っております。現地の人たちで日本に興味のある人たちも多い中、その人たちのラブコールにどのように応え、協力できるのかを私も皆さんと一緒に考えてきましたが、これからも皆さんにはお願いすることになると思います。また、総領事館としていろいろな人たちが幅広い形で活動してらっしゃるのを引き続きサポートさせて頂きたく思っておりますので、必要があれば是非お声をおかけください。そして、パースは比較的安全な所ではありますが、完全な安全はございませんので、最低限の身の回りの注意を怠らず、今後も安全で快適な生活を送って頂ければと思います。
 

平山 達夫(ひらやまたつお)総領事 略歴

2000年2月 在ニュー・ジーランド日本国大使館 一等書記官
2002年8月 在タンザニア日本国大使館 一等書記官
2004年8月 在ホーチミン日本国総領事館 首席領事
2008年7月 アジア大洋州局大洋州課 課長補佐
2011年2月 在リトアニア日本国大使館 参事官
2013年8月 経済局経済安全保障課企画官兼漁業室長
2016年9月 在パース日本国総領事館総領事 着任
2018年10月 在パース日本国総領事館総領事 離任

 
 


10月12日に在パース日本国総領事公邸にて、平山総領事の離任式が行なわれた。平山総領事は参列者一人一人に丁寧に握手で出迎え、スピーチではお別れの挨拶を述べた。また、来賓として出席した西豪州首相のMark McGowan氏やMike Nahan西豪州自由党党首は、平山総領事へ日本と西豪州の関係を更に深めたことに対して感謝の言葉を贈った。



離任式に参列した多くの人たちの前でお別れの挨拶を述べる平山総領事と、はなむけの言葉を送る西豪州首相のMark McGowan氏(上から3番目の写真)とMike Nahan西豪州自由党党首(上から4番目の写真)。







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