パースエクスプレス Vol.230 2017年3月号
女子サッカーWリーグのグローリーが果たせなかった悲願を男子のAリーグ・グローリーがぜひ叶えてほしい。Aリーグはいよい終盤へ。ここからが本当の勝負だ!
今回で9シーズン目を迎えたオーストラリアの女子サッカーリーグ、Wリーグ。男子のAリーグに対して、女子の Wリーグではセミ・プロフェッショナルのチームが全 9 チーム参加し、リーグ戦とリーグ戦最終順位上位4チームで行なうファイナルシリーズが行われる。
2016‐17シーズンを得失点差で2位とし、ファイナル進出を果たしたグローリー。2014シーズンで初のグランドファイナル進出を果たし、今回で2度目となる。初の優勝トロフィーをパースに持ち込むことができるか期待のかかる一戦となった。
グランドファイナル最多となる4,591人の地元声援を受け、前半は押し気味に試合を進めたグローリー。豪州代表でグローリーのキャプテン、背番号20番のSamantha Kerrが積極的に攻撃を仕掛ける。しかし、昨年の覇者Melbourne Cityは徐々に試合をコントロールし、前半アディショナルタイムにコーチ兼選手の背番号10番、Jessica Fishlockが執念の一点をもぎ取る。後半は、DFの裏を狙い、何度も瞬足のKerrを走らせるも、パスは通らず、逆に後半27分には追加点を奪われた。後がなくなったグローリーは波状攻撃を仕掛けるも、Cityの牙城を最後まで崩すことはできなかった。2014シーズンでも地元開催のグランドファイナル。そして、今回も夢破れたグローリーだが、パースに優勝トロフィーがもたらされるのも近い将来を確信させる一戦だった。
前シーズン覇者のホームに乗り込んでの一戦。ただ、試合は一方的となった。前半15分、背番号19番のJosua Risdonのクロスを相手DFがヘディングでクリアしようとしたが、そのボールはネットを揺らすオウンゴールへ。37分には背番号17番のDiego Castroが角度のないところから個人技で追加点。前半アディショナルタイムにはそのCastroからのパスを背番号9番のAndy Keoghがチームに3点目をもたらす。グローリーの勢いは止まらない。後半1分、またしてもCastroのクロスから背番号22番、Adam Taggartがゴール正面から4点目。終了2分前には、Castro自身がゴールを決め、グローリーにとっては今シーズン最多得点差で勝利を収めた。勝利の立役者は何といってもCastro。2得点1アシスト、4ゴールに絡む働きを見せた。
上位進出チームになるための大事な一戦。前半は共にスロースタート。最初にスコアボードに数字を入れたのは、Brisbane Roar。31分にクロスを背番号9番のJamie Macleaenがゴール前で競り勝ち、こぼれ球をそのまま右足で閃光。元グローリーのMaclarenは得点後のパフォーマンスを控えて、グローリーファンを気遣った。そして6分後、左サイドで背番号17番のDiego Castroがゴールライン上で粘りながらクロス。そのボールを背番号10番のNebojsa Marinkovicがゴール右隅にミドルシュートを決める。得点後のリプレーでは、Castroのクロスの前にボールがゴールラインを割っているようにも見えたが、主審の判定はゴールイン。3分後、Roarの背番号50番、Dane Inghamがコースを狙ったシュートで勝ち越し、前半は終了した。迎えた後半開始3分、右からの完璧な連携で、背番号22番のAdam Taggartが同点とする。Taggartは3試合連続の10得点目を記録した。後半は徐々に両チームとも足が止まり、決定的なチャンスも減り、試合はそのまま終了。この試合、2015年U17W杯にオーストラリア代表のキャプテンとして出場したRoarの背番号29番、MFのJoe Calettiはスタメン、フル出場を果たした。Calettiは、日本人の母をもつ。
(左写真)試合後、Roarの監督のJohn Aloisiは背番号17番のDiego Castroのゴールラインのシーンについて苦言を呈した。(右写真)ホームの勝ち点1に悔やむグローリーの監督、Kenny Lowe。
上位陣が敗れ、この試合で勝てば3位まで順位が上がるグローリー。一方、前節で無敗だったSydneyに初黒星を点け、3日後のACLで浦和レッズに4−0で負け、連戦続きのWestern Sydney Wonderers。Aリーグ唯一の日本人選手、Wonderersの背番号14番、楠神順平はこの日、スタメンでピッチに立つ。試合はお互いに様子を見ながらの展開だったが、アディショナルタイムに試合が動く。背番号17番のDiego CastroがFKをファーサイドの背番号14番のChris Haroldにピンポイントで蹴ると、そのボールをノートラップでジャストミート。相手DFに当たり、コースが変わりながらボールはゴールイン。グローリーが先制して、前半を終える。Wonderersの楠神は、要所要所でチャンスを生むパスを送るも、決定的な仕事はできなかった。この日の日中は気温が40度まで上がり、キックオフ時でも30度を超えていた。その影響か、徐々に両チームともに足が止まり、単調な試合となっていった。勝利目前のグローリーはアディショナルタイムに途中出場の背番号7番、Joel Chianeseがゴール前で合わせ追加点を挙げ、勝利したグローリーはRound 21を終えた時点で、3位まで順位をあげた。
Aリーグ唯一の日本人プレーヤー Western Sydney Wanderersの背番号14番、MFの楠神順平選手に試合後、話を伺った。 |
●今日の試合を振り返って? |
早い時点で2点を先行されたグローリーだが、背番号6番のDino Djulbicの最後方からのパスが背番号9番、Andy Keoghの得点を生む。しかし、後半開始2分にまたしても2点差とされる。しかし、この日はそれでは終わらなかった。後半22分、右からのクロスに背番号22番のAdam Taggartがゴールマウスを開く。そして、残り時間10分を切ったところで、PA外の45度の角度から17番のDiego CastroがFKを蹴る。効き足や角度的にもクロスを予想していた両チームイレブンだが、ボールはGKの頭上を越え、サイドネットを揺らした。芸術的な一発で、アウェイでの勝ち点1をもぎ取る試合となった。
Round | 開催日 | 対戦相手 | 試合会場 |
24 | 3月26日(日) | vs Sydney FC | nib Stadium(ホーム) |
25 | 3月31日(金) | vs Adelaide United | Coopers Stadium |
26 | 4月8日(土) | vs Brisbane Roar | nib Stadium(ホーム) |
27 | 4月16日(日) | vs Melbourne City FC | nib Stadium(ホーム) |
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