Vol.214/2015/11
総選挙から一夜明け、NLD本部前に集まった人に簡単なメッセージを告げるアウンサンスーチー氏。 |
11月9日(月)、ビルマ(ミャンマー)の現地時間午後4時過ぎ、徐々に情報が伝えられ始めた。それは、軍政から民政移管して初めての、しかも25年ぶりの本格的な総選挙で、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が大勝しているという情報である。選挙委員会からの正式な発表はまだであるが、NLDの勝利はまず間違いないであろう。
だが、現地の友人は、まだその情報を信じ切っていない。
「だって、90年の総選挙でもNLDが8割以上の議席を獲得して勝利したけど、時の軍事政権はNLDに政権を譲らずに、そのまま権力の座に座り続けたでしょう」
NLDの勝利を信じている人の多くが、口に出さずとももっている心配事である。
投票所の前には夜明け前から多くの有権者が詰めかけ、列をなして投票所が開くのを待っていた。その姿を見ると、自分たちの意思を国政に反映させたいとする彼らの意思は、私に十二分に伝わっていた。
軍政の後をそのまま引き継いだ今の与党が、本当に権力の座を明け渡すのか、長く暗かった軍事政権に本当に終止符が打たれるのか、その結果はこの1週間後には判明するであろう。
(2015年11月9日、ミャンマー/ビルマの最大都市ヤンゴン)