Vol.200/2014/09
雨季の行軍、ずぶ濡れになりながら前へと進むしかない。分解しているといっても、前を歩く兵士の担ぐ銃口が自分の方に向いているのは気持ちが良いものではない。
私は、特に山登りが好きなわけではない。いや、むしろ、どちらかというと嫌いな方だ。そうであってもこれまで、ビルマ(ミャンマー)の山奥に入って行った。私が見ようとしていた戦場は、いつもジャングルの中のゲリラ戦であったからだ。ビルマ軍事政権に抵抗するゲリラ組織・カレン民族の武装闘争の取材で、戦闘が行われている最前線に行くには、想像以上の苦労を強いられる。歩きやすい道は、ほとんどビルマ国軍に抑えられている。そのため、おのずと獣道を行かざるを得ず、藪を漕ぎ、地雷原に足を踏み入れなければならなかった。しかし、最前線にたどり着いても、カレン民族の戦法はゲリラ戦を取っているため、写真撮影などできないことも多い。いつも徒労だけが後に残る。雨季は、激しく長く続く雨のため、カメラをバッグから取り出すことさえできない。カメラが壊れては元も子もない、自分の身はずぶ濡れになっても、カメラやレンズはもちろん、最も重要な撮影済みのフィルムを濡らすわけにはいかない。