Vol.200/2014/09
ゲリラ部隊は、軍政の国軍が使う中国製の地雷を回収し、再利用することもある。
さらに別の日の行軍中に起こったことがある。
その日は、朝早い出発であった。歩き出して数時間後、お腹がグルグルと唸りはじめた。ヤバい、食あたりか。「小」の方なら立ち止まって、兵士たちに背を向け、草むらへと立ったまま用を足すことができる。だが、「大」の方はそうはいかない。次の「オーブェ(休憩)」まで我慢できるのだろうか。お腹の痛みと不安が大きくなっていく。やがてお腹の痛みが激しくなり始めた。半時間も歩くと、我慢の限界を超える。小道の脇の草むらに飛び込み、ズボンを下ろし、しゃがんだ。すると、小道の方から兵士が声を上げた。
「お〜い、そこは地雷が埋まってるぞ。気をつけろ」
ズボンを下ろしたまま、雉打ち(きじうち)態勢で動きが止まった。
「うぅ」。出るものも出なくなった。ゆっくりと目の前の地面をじっくりと見つめる。首を左右に振って、あちこちと地面を舐めるように眺める。だが、枯れ葉や小枝しか目に入らない。もっとも、目の前に地雷が仕掛けられていたとしても、素人の私には全く分からないであろう。静かに目を閉じ、2度、3度と静かに深呼吸を繰り返した。頭は意外にも冷静だった。
ここまで来たんだ、仕方ない、出すものは出そう。そう決めた。野外で用を足した人とは理解できるが、あらかじめ穴を掘っていなければ、用を足すには身体の位置と地面とは近すぎるのである。そのため、前屈みにならざるを得ない。
ふぅ、終わった。立ち上がろうとしたら、緊張のあまり踏ん張った足が痺れていたのか、しゃがんだまま、思わず、1歩2歩と前に進んでしまった。
「えぇぇへぇぇ」
思わず、何とも言えない、言葉にもならない情けない声をこぼしてしまった。心臓がドクンドクンと激しく悲鳴を上げる。ここで地雷に触れて負傷したら、糞まみれになるかもなぁ。ほんと格好悪いなあ。現場のフォトジャーナリストは、恰好が悪いのである。
(続く)