Vol.196/2014/05
間借りした小屋の小さな書斎でジャーナリスト活動を続けていた、在りし日のウィンティン氏(2013年2月)。
この4月もまた、3月に引き続きビルマ(ミャンマー)に取材に入っていた。いつもながら自分ひとりで問題設定をし、それを元に取材を続けるのは、本当に難しい。それでも今回は「何か」に背中を押されて、前回の取材から間を置かず現地入りすることになった。
そんな「何か」が何であったのか、4月21日の朝、判明した。
外国人にとって、ビルマで最も著名な人物といえば、ノーベル平和賞受賞者で民主化指導者のアウンサンスーチー氏であろう。だが、ビルマ国内では、スーチー氏と同じくらい、いやそれ以上に尊敬されている人物がいた。彼の名は、ウー・ウィンティン(「ウー」とは英語で Mr. に当たる敬称)という。
ここしばらく、“On the Road”では、自分のフォトジャーナリストとしての足跡を振り返っているのだが、このウー・ウィンティンと知り合ってからの5年間は短かく、間違いなく私の仕事、いや生き方に大きな影響を及ぼした人物である。