Vol.186/2013/07
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礼拝の時間になると、櫓の上でムスリムが祈りを捧げる(クトゥパロンの非公式キャンプ)。
その知人が後で説明してくれた。「ロヒンジャたちは増える一方だ。彼らは地域の木を伐って、薪を集める。また、安い賃金で働き、地元の村人から職を奪っている。だから地元からの反発が強いんだ。2週間前、英国のBBCが取材に来たけど、非公式キャンプ内では1分ほどしか取材できず、キャンプの外に出てきたよ」
キャンプの位置するウキアの村人は2010年、'Refugee Resistance Committee' という「難民《排除》委員会」を設立し、ロヒンジャ難民の流入を防ぐ活動を始めた。
2012年8月14日、バングラデシュの英字紙『The Daily Star』のトップ記事にロヒンジャの話題が載った。英国を訪問中のバングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、ロヒンジャ問題に関して、バングラデシュに圧力をかけるのではなく「ミャンマー政府」に問いかけをすべきだ、との声明を出した。また首相は、英国のアンドリュー・ミチェル国際開発相に対して、バングラデシュは人口過密であり、コックスバザールの2つのキャンプに住む28,000人のミャンマー難民を手当している、とも述べている。
また、その2日前の新聞報道では、ロヒンジャたちがバングラディシュの偽パスポートを取得し、中東に出稼ぎに行って犯罪を起こし、バングラデシュという国の名前を汚しているとの報道もあった。バングラデシュ政府もバングラデシュのメディアも、ロヒンジャをビルマ(ミャンマー)の問題だとみなし、お荷物扱いしている。それらがバングラデシュ国内でロヒンジャに対する一般の意見を形づくっている。
コックスバザールでロヒンジャ問題に関わる関係者から、「ロヒンジャが偽のパスポートでベンガル人になりすましているのと同じように、実はベンガル人も、その数は分からないが、ロヒンジャになりすまして難民として海外に出ようとしているんだよ」「ロヒンジャだろうがベンガル人であろうが、ほぼ同じ言葉を話し、同じような外見だから、両者の違いは分からないんだ」という話も聞いた。
2012年10月、バングラデシュからマレーシアに脱出する「ロヒンジャたちの乗ったボート」が転覆した。だが、そのボートに乗っていた多くは、ベンガル人であった。
(Oct.31) Wednesday's trawler capsize, at Kataboniya said that they were going to Malaysia seeking jobs with 110 people, including 20 to 30 Rohingyas, onboard from Kataboniya of Sabrong in Teknaf on Tuesday afternoon.
「ロヒンジャ問題」は、バングラデシュ政府にとっては看過できない問題である。
(続く)