Japan Australia Information Link Media パースエクスプレス

フォトジャーナリスト宇田有三氏による衝撃ルポ

On The Road by.Yuzo Uda
Vol.182/2013/03

ビルマ(ミャンマー)の「ロヒンジャ問題」を手がかりにして(6)


ビルマ最大都市ヤンゴンのシーア派のモスクで祈りを捧げるムスリム人たち

ビルマ最大都市ヤンゴンのシーア派のモスクで祈りを捧げるムスリム人たち。




 バングラデシュと国境を接するビルマ(ミャンマー)西方のラカイン州で2012年5月末、仏教徒のラカイン人女性がイスラーム教徒と目される3名の男性に強かんされ、殺害されるという事件が起こった。それをきっかけにして、仏教徒とロヒンジャのムスリム人(イスラーム教徒)が死傷者を出す深刻な対立を引き起こすようになってきた。
 2011年3月に軍事独裁政権から「民政移管」したビルマの抱える最も深い問題は、アウンサンスーチー氏の掲げる民主化問題ではなく、民族問題だといわれている。軍部によって50年近く強権的な支配が続いてきたビルマでは、国内では何が起こっていたのか、その実態は長らく伝えられてこなかった。
 「ロヒンジャ」の問題は、果たして民族対立なのか、宗教対立なのか、話を続けたい。