ビルマの首都は、2005年末にネピドーに移されるまで、ヤンゴン(ラングーン)であった(ヤンゴンという都市自体、イギリスの植民地時代に発展した町である)。ヤンゴンとは、ビルマ語で「戦争の終わり(end of war, battle)」を意味する。同じように、バングラデシュ側のチッタゴンは、ラカイン語で「戦場、戦争の始まりの場(fort of war)」を表す地名である。
また、バングラデシュはかつて、チッタゴン丘陵から首都ダッカ(パハルプールの仏教寺院遺跡群)まで、広く仏教が栄えた土地であった。特にビルマ側に近いところでは、仏教徒の「アラカン王朝」が勢力をふるっていたと推測される。
私がバングラデシュに入ってまず頭の切り替えが必要だったのは、そこはもともと仏教が盛んな土地だったということである。