パースエクスプレスVol.121 2008年2月号


≫ オーストラリア連邦首相からのごあいさつ
≫ ‘08邦人保護に関する意見交換会が開催



 社会
  オーストラリア連邦首相からのごあいさつ

2008年を迎え、オーストラリア連邦政府ケビン・ラッド首相よりご挨拶文を頂戴しました。

It gives me great pleasure to extend my best wishes to the staff and readers of The Perth Express.

The beginning of a new year is a time for families and friends to come together and celebrate in the spirit of community and give thanks that we live in such a wonderful country.

All Australians have a special place in their hearts for the country where they were born and this is true for Japanese Australians as well as for those of other ethnicities. Your community has made significant social and cultural contributions to our nation and I commend Japanese Australians for these achievements. At the international level, Japan has been Australia痴 closest and most consistent friend in the region over many years, and the two countries share a strong partnership based on important economic, security and community ties.

One of the joys of being part of our culturally diverse community is the opportunity to witness and participate in the many traditions that people bring with them when they settle in Australia. In fostering this diversity, together with a commitment to the rights of all people to celebrate their religious and cultural traditions within an Australia context, we are creating a uniquely vibrant and inclusive society.

My wife Therese joins me in wishing The Perth Express and its readers a very happy and prosperous 2008.

パースエクスプレスの読者とスタッフの皆様に、新春のお喜びを申し上げます。

年の始まりに家族や友人は集い、コミュニティーの団結を祝うと共に、素晴らしい国に暮らしている事実に感謝します。

すべてのオーストラリア人は、心の奥に生まれた国への特別な想いを秘めています。これは在豪日本人の皆様にも、他国から来た方々にもあてはまります。在豪日本人の皆様は、オーストラリアに対して著しい社会的、文化的貢献を果たされてきました。皆様のこうした成果は、実に素晴らしいものです。国際的に見て、日本はこの地域で長年オーストラリアの最も緊密かつ一貫した友人であり続けています。両国は経済や安全保障、草の根交流といった分野での関係を軸に強力なパートナーシップを築いています。

オーストラリアへの移民が祖国から持ち込む多くの伝統を直に見て、これに参加できるのは、この多文化社会に暮らす喜びのひとつといえます。こうした多様性を育む上で、私たちは全ての国民が自らの宗教や文化的伝統をオーストラリア流に祝う権利を重視すると共に、独自の活気ある、多文化社会の実現を目指しています。

パースエクスプレスの読者とスタッフの皆様の本年中のご多幸とご繁栄を、妻テレーズ共々強く願っております。



The Hon Kevin Rudd MP
Prime Minister of Australia
ケビン・ラッド豪州政府首相


 
 社会
  ‘08邦人保護に関する意見交換会が開催
2月1日、在パース日本国総領事館主催のもと、パース在留邦人の保護についての意見交換会が開催された。旅行関係事業者やワーキングホリデーメーカー・留学生サポート事業者、日系団体、学校関係者によって、邦人保護の現状、西豪州の犯罪状況、鳥インフルエンザ、捕鯨問題について話し合われた。

<邦人保護の現状>
◆在留邦人数の推移

1998年から2002年の5年間では、それぞれ2,319人と2,998人で僅かな増加だったが、2003年には3,532人、2005年には4,293人、そして2007年には5,277人と毎年500人前後ずつ増え続けている。
※各数字は在パース日本国総領事館に届け出のあった在留届によるもの
◆ 邦人援護件数
2000年の55件から2004年の130件まで年々増加していたが、2005年より減少し、2006年には76件となっている。最近の援護案件では精神疾患によるものが多く、年間10件程度にも及ぶ。特徴として、本人には自覚がないが被害妄想やうつ(引きこもり)、幻覚・幻聴があり、対応としてカウンセリングを勧めたり、生活環境の変化を促して帰国を勧めたりしているが、当地の病院に数週間入院し、医師の付き添いのもと帰国するケースも発生している。また、本誌先月号でも掲載した、昨年末に起きた通り魔的殺人被害にあった邦人男性死亡事件においては、深夜の公共交通機関の使用自粛や夜道の単独行動回避を予防策とした。そして、今までにも多数、在パース日本国総領事館に問合わせのある、旅券等の紛失・盗難については、「パスポートは出したら回収」を教訓とするよう言及された。

<西豪州の犯罪状況>
国際的にみても比較的治安の良い地域だと思われている西豪州だが、犯罪統計数を見る限り決して安全とは言えず、人口10万人当たりの犯罪発生件数は平均で日本の約11倍となっている。中でも暴行傷害は、2000年の14,125件から2006年の21,845件と、約1.5倍増となり、西豪州において侵入盗と自動車盗は、全豪で最も多い。また、日本との比較では侵入盗や強盗が、日本の20倍もの発生件数となっている(2006年の西豪州の侵入盗は40,128件)。 ※西豪州警察発表

<鳥インフルエンザ>
2008年1月24日現在、厚生労働省より発表された鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び、人での発症事例(2003年11月以降)では、人の発症者数が120人(うち死亡者98人)のインドネシア、102人(うち死亡者48人)のベトナムが他国に比べ際立って多い。また、世界の鳥インフルエンザ確定症例数では、2003年の症例数が4名(死亡数4名)だったが、2007年では86名(死亡数59名)にまで増大している。オーストラリアにおける鳥インフルエンザへの対応については、連邦・州レベルにおいて政府がバックアップをすると発表している。 ※厚生労働省発表

<捕鯨問題>
昨今、当地パースの新聞紙面でも日本の捕鯨について反捕鯨国のオーストラリアの立場から書かれた記事が絶え間なく掲載されている。
◆ 日本政府の立場
・日本政府の基本的立場は、鯨類資源は他の海洋生物資源と同様、持続可能な利用が図られるべきであるとのこと。
・日本の世論も鯨類の資源に悪影響が及ばないよう、科学的根拠に基づいて管理されれば、資源豊富な鯨類については捕鯨を認めている。2002年、内閣府が実施した「捕鯨に関する世論調査」で、『鯨の資源に悪影響が及ばないよう、科学的根拠に基づいて管理されれば、資源の豊富なミンク鯨等を対象に決められた数だけ各国が捕鯨を行うことをどのように思うか』の質問に、75.5%の人が賛成と答えた。 ・鯨類管理の国際的枠組みであるIWC(国際捕鯨委員会)においても、資源の適切な保存管理措置を講じるべきとの立場である。
◆ IWCにおける議論
・IWC加盟国は70カ国以上であるが、捕鯨推進派と反捕鯨派はほぼ半々で、議論は膠着状態。 ・1994年、生息数の不確実性をもとに捕鯨サンクチュアリー(南氷洋における商業捕鯨活動の禁止)を可決。 ・日本は鯨類の生息数などを明らかにするため、1987年、南氷洋鯨類捕獲調査(JARPA 1)を開始し、2005年には第2次南氷洋鯨類捕獲調査(JARPA 2)を行った。この調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約第8条第1項に則ったものとなっている。
◆ 反捕鯨国及び反捕鯨団体の主な主張
・そもそも、調査捕鯨は行うべきではない。
・鯨類調査のために、致死的調査は必要ない。(注:国際捕鯨取締条約第8条第1項には「科学的研究のために鯨を捕獲し、殺し、及び処理することを許可する特別許可証をこれに与えることができる(一部抜粋、以下省略)」と謳われている)
・鯨肉は市場に販売されていることから、これは商業捕鯨である。(注:国際捕鯨取締条約第8条第2項に「1項の特別許可証に基づいて捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない(以下省略)」とある)
・鯨類は知的で神聖な生き物であることから、捕鯨するものではない。
・日本は、調査捕鯨という「法の抜け穴」を用いて鯨を殺している。 など
◆ 豪州における抗議活動の状況
・2007年11月以降、大使館や領事館などに寄せられる抗議件数は激増。大使館には、電話やEmail等にて312件(2008年1月16日現在)、在メルボルン日本国総領事館には611件(2008年1月16日現在)、在パース日本国総領事館には48件(2008年1月19日現在)の抗議が寄せられた。抗議内容は、「日本が捕鯨を行う限り、日本製品購入をボイコット、また日本を訪問しない」といったものまであった。
・調査捕鯨の中止を求めるものが多数であるが、一部過激なものもある。
・現在(2月1日)までのところ、大使館や領事館、在留邦人に対して、深刻な被害や嫌がらせの報告は受けていないが、12月27日、在メルボルン日本国総領事館内に地元反捕鯨団体(Animal Liberation Victoria及びSea Shepherd)関係者7名が侵入し、反捕鯨を訴えたり、1月25日、在ブリスベン日本国総領事館前で地元反捕鯨団体が抗議活動を実施したりしている。また、在パース日本国総領事館管内では、1月上旬、フリーマントル市議会における日本製品購入のボイコットが起こっている。
◆ 在豪大使館、領事館などにおける対応
・日本の調査捕鯨の正当性・妥当性をプレスリリース等で主張すると共に、ウェブサイトにも掲載。
・一般的な講義内容については個別に対応。
・過激なものについては本省に報告しつつ、当地警察などに協力を要請。
・在西豪州紙に対する当方の主張の送付(在パース日本国総領事館の対応)

資料提供:在パース日本国総領事館

 
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