西豪州首相のマーク・マガウワン氏が、州首相として初めて日本を訪れた。西豪州議会議員選挙で自由党より政権を奪取し、労働党党首のマガウワン氏が西豪州首相の座に就いたのが2017年3月。
経済、教育、文化とあらゆる面で強固な関係を築いてきた西豪州と日本の関係を再確認するためにも今回、11月14日から訪日したマガウワン首相だが、西豪州と日本を結ぶ航空路線の直行便復活についても協議がなされるのではと多くのメディアが取り上げた。その点についても本誌(PE〉独占にて、マガウワン首相の州首相室にてインタビューを行った。
>【英語版のインタビュー見る】『Exclusive Interview with Premier Mark McGowan』
--今回が4回目の訪日になるかと思いますが、日本滞在はいかがでしたか。
4回目となる6日間の日本滞在は、素晴らしいものでした。前回が2013年で、それ以前は2001年と2005年に訪問しています。いつも日本は、素晴らしい訪問先として楽しませて頂き、西豪州のパートナーとしても大きな存在となっています。
--日本は秋でしたが、紅葉はご覧になられましたか。
はい、美しかったですね。天気も良かったです。暑くもなく寒くもなく、紅葉もあちらこちらで見ることができました。地方へのロードトリップにも出かける機会がありましたが、そこでも紅葉を見ることができました。
--日本の伝統的な食べ物は召し上がりましたか。
たくさんの日本料理を頂きました。私は、箸も上手に使えますが、その箸を使いながら伝統的な日本料理も頂きました。日本料理は健康的で美味しく、大好きですね。
--さて、今回の訪日の目的をお聞かせ下さい。
日本が西豪州と重要な貿易相手国であり、また(兵庫県との)姉妹州提携を結んでいるため、私はその関係に注力していること、かつ新しい西豪州政府が日本と共に長い間、この関係を支援し続けていることをお見せしかったためです。ビジネスや政治の分野でのつながりをサポートする会合も設け、出席するのも目的でした。
--Paul Papalia西豪州観光大臣が10月に訪日し、ご自身とまた今回、数週間後ですが日本に行かれましたね。なぜ、そこまでPapalia大臣は忙しくされたのですか。
Papalia観光大臣は、東京と西豪州への航空路線の直行便について勢力的に動いています。5、6週間前に日本に行き、今回の私の訪日準備も兼ね、また日本航空株式会社や全日本空輸株式会社の関係者とその直行便について協議しました。そしてパースに戻り、私とその直行便ついて話し合いをもちましたが、東京と西豪州の直行便を通すためにはできる限りの要求を各航空会社に志願しているところです。
--(日本に行く前に中国を訪れていますが)、中国東方航空と直行便について良いお話ができたと伺っています。今回、首相ご自身も日本航空株式会社や全日本空輸株式会社の関係者とお会いしたのでしょうか。
私は日本航空株式会社の関係者と、Papalia観光大臣は両社の関係者とお会いしました。今回、私は全日本空輸株式会社の関係者とお会いする機会は得られませんでしたが、日本の大臣クラスの政治家の方や政治関係者、そしてその他関連するビジネスマンともその直行便についてお話しました。
--もし西豪州と日本との直行便が復活した場合、何を期待されますか?
復活するとなれば、素晴らしいですね。日本人観光客やビジネスがパースに入りやすくなり、西豪州の観光客も日本へ行きやすくなります。ここで是非、想起しなければならないことは、日本にスキーをしに行きたいと思っている多くの人達がいて、西豪州と日本にはとても大きな観光業が存在していることです。そして、直行便が通ることで日本から西豪州へより容易にビジネス機会を得ることが可能になるといった、こちらも大きな相互関係が日本と西豪州には存在しているのです。過去10年、西豪州への日本人観光客が劇的に減少してはいますが、直行便は再活性化に役立つと考えています。
--ご自身は以前、City of Rockinghamの議員を務められていましたが、Rockinghamと言えばイルカですね。イルカは日本人観光客に人気ですが、直行便が復活することでそのようなアトラクションはさらに注目を集め、日本人やアジア人の観光客が増えると思われますか?
さらに多くの日本人観光客が西豪州に来られることを切に期待します。西豪州にいる私たちは、もちろんここがどれほど素敵な所かを知っているので、より多くの日本人観光客が来たら彼らにもっと喜んでもらえると確信しています。私は、今回の訪日でCity of Rockinghamの姉妹都市、赤穂市に行き、赤穂市の議員や各関係各所の代表の方たちともお会いしました。赤穂市は神戸市から1時間半あまりのところにございますが、私はもちろん今でもCity of Rockinghamのメンバーとして赤穂市とは関係を築いています。ただ、過去20年間、赤穂市には訪れたことはなく、今回が初めてとなりましたが、訪問は素晴らしいものでした。多くの議員や地元の人たちとお会いし、少し観光もさせて頂き、本当に良かったです。
--首相という立場で多くを語れないと思いますが、来年、直行便の復活あり得ますか。
私は、そう望みます。準備には時間がかかりますので、来年の後半にはと期待していますが、その翌年になるかもしれませんね。もし復活すれば、西豪州と日本にとって素晴らしいことになるでしょう。
--中国東方航空は来年、パースに直行便を飛ばすのですか。
そちらも、そう願います。中国人観光客は、金銭的にも余裕がありますしね。多くの日本人観光客が過去長い間、西豪州に来られていましたが、その数が減少していることは寂しいことです。もちろん、イルカや綺麗な街、美しい環境、美味しい食事に今やホテルの価格が手頃になったこと、パースに来る費用も安くなったことを、私たちは日本人の多くの方達に知って頂き、西豪州でホリデーを過ごして頂きたいと思っています。
--再度、直行便は西豪州と日本との関係をさらに強固にすると考えられますか。
はい、そうなるでしょう。もし直行便が通れば、より簡単に両国へ行き来することができます。飛行機で行ったり来たりすることは、私にとっては苦ではありませんが、例えば、数時間香港に滞在することを多くの人は好まないのでしょうね。無駄な時間なのでしょう。そして、私たちと比べると休暇が短い日本の観光客には、そういった障害が取り除かれれば、より良いと思います。
--ご自身、PRIDEFESTに参加した最初の西豪州首相ですね。日本において同性婚はまだこれからのようですが、西豪州は日本からLGBTQ(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender、Queer)の方を歓迎されるという立場でしょうか。
西豪州とパースは同性婚をとても寛容に、そして調和を取りながら受け入れました。よって、私たちはどんな年代の、どんな宗教の、どんな性的指向をもつ日本人でも、もちろん歓迎致します。同性婚に賛成することは、西豪州では何も難しいことではありませんでした。私は、そのうちこのようになることは感じていましたし、今後、日本でも起こることになるでしょう。これらのことは、時間の経過で進展することです。
--パースにいる日本人は、西豪州と日本との経済、教育、姉妹都市関係がさらに強固になることを望んでいると思います。両国にとって次のレベルの関係を構築するには何が必要だと考えてらっしゃいますか。
西豪州と日本はとても近い関係にあります。私たちは(兵庫県との)姉妹州関係を再確認し、今回の訪日で兵庫県の35周年記念イベントに参列しました。また、三井物産株式会社や三菱商事株式会社、株式会社JERAや東京ガス株式会社の関係者と会合を持ちました。そして、3名の日本国政府の大臣ともお会いしました。総理官邸に行き、内閣官房副長官の西村康稔氏、農林水産大臣の齋藤健氏、外務大臣政務官の堀井巌氏にお会いしました。当たり前ですが、両国へ実際に橋を架けることはできません。ただ、このような方たちにお会いできるということは、とても近い関係を維持できている、ということをお分かり頂けるでしょう。
--経済関連では、前西豪州首相のRichard Court氏が催した会合もございましたね。
はい、とても素晴らしかったですね。Court前州首相とは仲が良く、Court氏はとても良い大使を務められました。私たちは、そこでも多くの日本企業関係者と西豪州が日本へ輸出できる様々な物についてお話させて頂きました。その中でも、アボカドが話題になりました。西豪州で採れるアボカドは高品質なのばかりで、もし日本へ輸出した場合、質的に問題を抱えている日本のアボカドに代われる、といった日本にとっては良い話もさせて頂きました。
--また、教育分野では東京都市大学を訪れ、300人の交換留学生ついて話をされていますね。
東京都市大学は、(パースの)エディスコーワン大学と強いコネクションを築き、毎年300人の生徒を留学させています。私は東京都市大学を訪問し、東京都市大学名誉博士の称号を頂きました。あの夜はとても素晴らしかったです。感謝しております。これも関係強化を確かめ合い、交換留学が西豪州の雇用へ、また両国の理解を深めるにも良いこととなるでしょう。
--最後、本誌読者にメッセージを頂けますか。
オーストラリアにおける日本人コミュニティは我々にとってとても大切であり、重要な役割を果たしてきました。ビジネス、スポーツ、文化活動においても、現地コミュニティとの強いコネクションがございます。私はいつも西豪州にいる日本人の方々との結びつきを喜ばしく思っています。
マーク・マガウワン 西豪州首相
公共部門管理大臣/州開発大臣/雇用・貿易大臣/連邦国家関連大臣
1994年~1996年にCity of Rockingham議員、1995年~1996年にはCity of Rockingham副市長を経て、1996年12月に西豪州議会に選出され、2012年1月から労働党党首を務める。そして、2017年3月に行われた西豪州議会議員選挙により労働党が政権に就き、西豪州首相に就任した。