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西オーストラリア州に最年少新党首誕生。豪州首相は訪日。



 

西オーストラリア州議会の第一党として労働党のマーク・マガウワン(Mark McGowan)党首が西オーストラリア州首相を務めているが、10月に入り一部の世論調査ではで新型コロナウイルス対策などで支持率をさらに伸ばし、過去最高にまで押し上げている中、野党の自由党党首にザック・カーカップ(Zak Kirkup)議員が新たに就任した。

西オーストリアリア州野党の自由党は2021年3月の州総選挙に向けて、新たな党首を擁立。その党首とは、2017年の州総選挙で初出馬で初当選し、一期目のザック・カーカップ(Zak Kirkup)議員が就任した。33歳にして最年少党首。全てが初尽くしだが、自身が2004年の17歳の時、自由党のロゴの下に「将来の豪州首相」といった肩書で名刺を自作していたという。

2017年3月の州総選挙前まではコリン・バーネット(Colin Barnett)元州首相の元、2008年から2期(8年)、政権を取っていた自由党だが、マガウワン党首率いる労働党に奪取されて以降、マイク・ハナン(Mike Nahan)議員が自由党党首を務め、2019年6月にはライザ・ハーヴェイ(Liza Harvey)女史が党首の座を引き受けていた。しかし、ハーヴェイ党首がマガウワン州首相とは反対の新型コロナウイルス対策州境開放を謳い、それが裏目に出て、党内や世論からも反対を受けることになった。そこで、来年2021年の州総選挙をにらみ、同氏は辞任を発表。これを受け、当初はディーン・ナルダー(Dean Nalder)議員が党首選へ両立されていたが、選出選挙直前に立候補を取りやめ、11月24日にカーカップ新党首が就任した。

今回のカーカップ氏の自由党党首就任は、来年の総選挙でもし自由党が負けても失うものはないといった“かませ犬”的役割を担わされたといった見方が強い中、新カーカップ自由党がいかに前回の選挙で失った議席を取り戻せるかがすでに注目されている。
 
 
一方、国政では自由党が第一党となり政権を取っているが、そのオーストラリア連邦のスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、11月17日から2日間に渡って日本を訪問している。モリソン首相の訪日は2019年6月に安倍晋三前首相と東京で行われており、今回はそれ以来となった。また、菅義偉首相にとっては首相就任後、日本に迎え入れた初めての外国首脳となった。日本国外務省によると菅首相は6月にモリソン首相と電話会談を行っており、その時はモリソン首相より菅首相就任への祝意などが述べられたと発表されている。

さて、今回の首脳会談ではモリソン首相にとってはオーストラリア帰国後に待つ新型コロナウイルス対策の14日間の自主隔離が待っているにも関わらず、そこまでして会談をする意義について記者会見では「日本との関係は特別だ」と述べている。その会談についてABC News(www.abc.net.au)では、自衛隊とオーストラリア軍との共同訓練等を行う際の法的枠組み「相互アクセス協定/Reciprocal Access Agreement(RAA)」について大枠で合意したと報じた。これは、当面の中国をけん制するねらいもあると言われている。オーストラリアにとって最大の貿易相手国の中国だが、4月に新型コロナウイルスの発生源を解明する必要があるとモリソン首相が言及し、それに中国は強く反発。オーストラリアからの一部肉製品の輸入を停止するなど両国関係は急速に冷え込んでいたが、その中国との緊張状態を乗り越えるためにオーストラリアと日本は軍事関係を強化することで合意したと言われている。実際、「日本が米軍以外の軍隊に国内活動を許可する協定を結ぶのは60年ぶりのことだ」とも報じている。

ただ、この協定締結には6年もかけて交渉が続けられていた。その障害となったのが日本の死刑制度で、もし日本の領土内でオーストラリアの軍人が重大な犯罪を犯した場合、死刑制度が廃止されているオーストラリア側とどのように格差を埋めるのかが争点となっていたが、モリソン首相はその点についての具体的な解決策は明言しなかった。

菅首相は日豪首脳共同声明に署名したとして「安全保障、防衛協力や経済などの分野での両国の協力関係の一層の強化をうたったものであり、引き続き日豪間の連携を強化していきたい」と述べ、モリソン首相も「日豪友好関係の歴史上画期的なできごとだ」と述べている。また、防衛協力や安全保障以外にも温室効果ガスの排出削減の分野や、新型コロナウイルス対策についても協議され、互いに協力し合うことが確認されている。

一方、モリソン首相は国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長とも東京都内で会談したと明らかにしており、オーストラリアのクイーンズランド州へ2032年夏季オリンピック招致について、オーストラリア政府が全面支援することを伝えたと言われている。

情報: ABC NEWSオンライン版







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