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【新型コロナウイルス関連】まだ間に合う、豪は年金早期引き出し。加は24週間まで延長!



 
新型コロナウイルスの影響で、政府からの支援を受けづらいとされるワーキングホリデービザや学生ビザ保持者の中には生活を維持することが厳しい状況に追い込まれた方もいるでしょう。しかし、このコロナ禍中、弱者ともいえる両者も支援を受けることは可能です。ここでは、ワーキングホリデーや留学先でも人気のオーストラリアとカナダの両国での政府支援策を紹介します。

コロナ禍中、世界各国で国民の最低限の生活を守るために政府が支援策を講じるも、どの国も支援対象者は市民権や永住権保持者が最優先とされてきました。オーストラリアもそういった政策を取った国の一つですが、ワーキングホリデービザや学生ビザ保持者へ手厚く対応した国として、カナダが挙げられます。オーストラリアもワーキングホリデービザや学生ビザ保持者に支援策を提示しましたが、給付金は国のお金が使われたわけではなく、いわば自分で稼ぎ出したお金の払い戻しのようなかたちでした。一方、カナダはれっきとした国のお金を使った給付金の受給でした。この点は大きな違いと言えるでしょう。

では、両国の支援策について詳しくみていきましょう。

【オーストラリア】


 
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響によりオーストラリア政府は、「Jobseeker Payment」や「Jobkeeper Payment」によって支援策を講じてきましたが、いずれも受給対象者がオーストラリア市民権及び永住権保持者のみで、ワーキングホリデービザ、学生ビザ保持者は対象外でした。しかし、経済的に困難な状態に陥っているワーキングホリデーや学生ビザ保持者は、オーストラリア市民権及び永住権保持者と同様に、自らのスーパーアニュエーションにアクセス(Early Release of Superannuation)することが認められました。

スーパーアニュエーションとは、給料の9.5%が雇用主から支払われ、貯蓄される退職年金を指します。通常、年金ですので退職してから受給できるものですが、今回のコロナ禍の影響で早期引き出しが可能となりました。本来、引き出しの際に税金が発生しますが、今回の早期引き出しの場合は無税で引き出せます。

スーパーアニュエーションの早期引き出しは、オーストラリア市民権及び永住権保持者と、ワーキングホリデービザや学生ビザ保有者といった対象によって条件や資格が一部異なります。そして、ワーキングホリデービザや学生ビザ保持者の引き出し条件として2020年6月30日となっていますので、引き出しをお考えの方は早急に手続きしてください。

(対象1)オーストラリア市民権及び永住権保持者
<条件>
2019/20年度(2019年7月1日~2020年6月30日)に最大10,000豪ドル、そして2020/21年度(2020年7月1日~2021年6月30日)に更に10,000豪ドル
<資格(いずれのうちのどれかに該当)>
・失業中
・各種政府からの給付金を受給する資格がある
・2020年1月1日以降に解雇された
・2020年1月1日以降、また現在も労働時間が20%以上減った
・自営業の場合、2020年1月1日以降または現在も売り上げが20%以上減った
・自営業の場合、2020年1月1日以降または現在も仕事が停止している

(対象2)ワーキングホリデービザ保持者
<条件>
2020年6月30日までに最大10,000ドル
<資格>
現在の生活費を賄えない

(対象3) 学生ビザ保持者
<条件>
2020年6月30日までに最大10,000ドル
<資格>
・学生ビザを12ヵ月以上保持している
・現在の生活費を賄えない

関連記事:【新型コロナウイルス関連】豪州政府の各種経済支援策のアドバイス
 

【申請方法】

ここでは、実際に申請方法について説明します。パースエクスプレスのウェブユーザーで、パースに12ヶ月以上滞在している日本からの留学生、としやさん(仮名)が「スーパーアニュエーションの早期引き出しをする」ということを聞き、取材に協力して頂きました。ステップごとに紹介します。
※myGovアカウントをセットアップし、ATOにリンクしている状態を前提としています。
※としやさんのプライバシーを守るため、一部、個人情報はモザイクをかけています。
 

ステップ 1)


としやさんは、自身のmyGovにアクセスして、「Your service」の「ATO」をクリックしました。
 

 
 

ステップ 2)


「Super」の欄に今まで貯蓄されていたとしやさんのスーパーアニュエーションの金額が、イラストの下に表示されます。
 

 
 

ステップ 3)


自分が引き出したい年度(としやさんの場合は、2019/20年度{2019年7月1日~2020年6月30日})ということを確認し、「Apply」をクリックしました。
 

 
 

ステップ 4)


ここでは、対象者や条件、資格などが説明されています。またこの支援策や申請資格についての具体的な説明もリンク先(青字)に明記されています。「Apply」に進む前にもう一度、確認を含め読みましょう。
 

 
 

ステップ 5)


申請します。「Eligibility(資格)」の項目からです。としやさんは学生ビザ保持者なので、「I am the holder of a current temporary resident visa」をクリックしました。そして、5つの項目が自分も該当していることを確認し、ティックを入れて、「Next」に進みました。
 

 
 

ステップ 6)


「Reason(理由)」の項目です。としやさんは、レストランで働いていましたが、新型コロナウイルスの影響で解雇となったので「Unemployed」を選択しました。
 

 
 

ステップ 7)


「Release」の項目では、としやさんのSuper Fund(スーパーアニュエーション・ファンド)が照会され確認後、としやさんは引き出したい金額を入力しました。そして、振り込み先(としやさんの銀行口座)も合わせて、入力しました。
 

 
 

ステップ 8)


「Summary」の項目では、「Reason type(引き出し理由)」、「Account details(振込先口座の詳細)」、「Releasing from funds(スーパーアニュエーション・ファンドの詳細と金額)」が照会され、確認しました。そして、「Declaration(宣誓)」をしっかり読み、承諾後、□にティックを入れて、「Submit」をクリックしました。
 

 
 

ステップ 9)


ATO(オーストラリア国税庁)から「ATO receipt ID」が発行されて申請は完了です。
 

 
 
後日、としやさんから電話があり、「申請日から3日後にATOから自分の携帯宛にメッセージが届きました。内容は申請受理でした。さらに2日後に自分のスーパーアニュエーション・ファンドから払い戻し完了を知らせるメールが入りました。直ぐに銀行口座にアクセスしたら、入金を確認することができました。これでやっと、具材のあるパスタを作って食べれます 笑」
 
 
次に、ワーキングホリデービザや学生ビザ保持者にも該当するカナダ政府の支援策を紹介します。

【カナダ】


 
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響に対してカナダ政府は、支援策として「カナダ緊急対応給付金/Canada Emergency Response Benefit(CERB)」の支給を行っています。対象者は、職や収入を失った人で、EI(Employment Insurance/雇用保険)の申請資格のないフリーランスや自営業者などとなりますが、その中にワーキングホリデービザや学生ビザ保持者も含まれます。

オーストラリアの政府支援策では、申請条件にはビザのカテゴリーでのすみ分けがありましたが、カナダではビザのカテゴリーで申請資格の有無が決定するわけではありません。繰り返しますが、ワーキングホリデービザや学生ビザ保持者も条件を満たせば申請は可能ですが、カナダ政府のウェブサイト(www.canada.ca/en/services/benefits/ei/cerb-application.html)にて、注意深くその条件を確認する必要があるでしょう。

カナダ緊急対応給付金(CERB)の制度は、「Emergency Care Benefit」と「Emergency Support Benefit」を併せもったもので、給付額は月で2,000カナダドルとなっています。支給期間は月1回の最長24週間となっています(6月16日現在)。

【申請方法】
オンライン登録が主となりますが、電話からの申請も可能です。
※事前にCRA(Canada Revenue Agency/CRA:カナダ歳入庁)のマイアカウントを作成していることが前提となります。

1. CRAのマイアカウントにアクセスして、CERBの「Apply」をクリックします。
2. 申請資格を確認します。
3. 申請証明を行います。ここでは、自身がCERBを受け取る資格があることを政府に証明しますが、資格がないのに虚偽の申請をすると犯罪行為とみなされます。
4. ダイレクトデポジット先(振り込み先銀行口座)を確認して送信します。
 
 


ワーキングホリデーや留学先としてポピュラーなオーストラリアとカナダ。しかし、新型コロナウィルスの影響で両国に滞在していたワーキングホリデービザや学生ビザ保持者のおかれた環境が一変しました。その環境下で生活を維持するためには経済支援が必要となり、両国ともに支援策を打ち出しました。

オーストラリアは「スーパーアニュエーションの早期引き出し」で、カナダは「Canada Emergency Response Benefit(CERB)」でした。しかし、両国ともに刻一刻と状況が変化する現状での対応策の打ち出しとなっています。よって、1日単位でそれら対応策も変わることが余儀なくされていますので、正確な情報を掴むためにも政府の経済支援対策に関する日々の発表は、逐次注意深くチェックするようお勧め致します。

※オーストラリアに関する情報元:Government of Australia www.ato.gov.au/Individuals/Super/In-detail/Withdrawing-and-using-your-super/COVID-19-early-release-of-super/

※カナダに関する情報元:Government of Canada www.canada.ca/en/services/benefits/ei/cerb-application.html







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