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【パースエクスプレス・マガジン】第39回(最終回) 特異な家庭環境で育った恩田正平。少年時代は…


 

【前回までのあらすじ】
失恋を機にロサンゼルスからパースに移り住んだ沢田百々子。しかし、ロサンゼルスから追いかけてきた恩田正平にパースでストーカー行為を受け、心身のバランスを崩した。10年後、心も癒えた頃に強い自分を取り戻すため、あえてロサンゼルスへ当時の友達、Risaに会いに行く。そこに待ち受けていた現実は、Risaが正平と夫婦関係にあったことだ。そして、百々子がロサンゼルスに戻ったことを正平は知り、百々子を車の中で監禁するが、その密室で正平の過去が明らかになり、事態は急変した。

 


 
第50走者(最終走者)
しおり
 
特異な家庭環境で育った恩田正平。少年時代は母親からの愛を渇求していた。だが、ある時を境にその少年時代の記憶を一切排除した。ロサンゼルスからパースへ沢田百々子を追いかけ、ストーカー行為をはたらくも、正平にとって百々子は自分の幼き頃の母だった。正平にとってはストーカー行為ではなく、母の愛を求めた行為だった。
 
百々子も車の中で肩を震わせ、涙ながらに自分の過去を話し始めた正平をふと包み込んでしまいたい衝動にかられた。そして、自分の母親の旧姓が恩田であることをぼんやり思い出していた。
 
ヘッドライトに照らされたRisaと正平。僅かに胸で息をするRisaに声にならない「ありがとう」の一言を残し、ゆっくりと地面にRisaを戻す。そして、フロントガラス越しで見ていた正平の姿は赤と青のフラッシュライトの方へゆっくりと溶けて消えていった。
 
3年後、一児の母となった恩田百々子(旧姓、沢田百々子)は思い出の地、Mt Lawleyで子育てを楽しむ日々を送る。今の生きがいは、子どもの成長を日々感じ、無償の愛でその子を育てることだった。永遠とその時間が続けばと願いながら。

(完)

 

【お礼】

今回で最終回となったこのコーナー。50人もの投稿者がバトンを渡し続け、一つの物語を完結させました。投稿頂きました50名の読者の方々にこの場を借り、お礼申し上げます(編集部より)。
 
全50走者の投稿は、パースエクスプレスのウェブサイトでご覧いただけます。
『第1回~16回』:www.theperthexpress.com.au/contents/relaynovel/index.php
『第16回~』:theperthexpress.com.au/entertainment/perth-relay-novel







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