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【パースエクスプレス・マガジン】第35回 いつの間にか百々子と恩田正平の2人の間には、連帯感が生まれ…

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【前回までのあらすじ】
沢田百々子、45歳。病院の退院日に恩田正平に拉致される。車の中には正平の妻で、百々子の友人でもあったRisaが同席していたが、正平によって車から降ろされた。警察に包囲された車の中で正平と百々子の2人の向かう先は?!

 


 
第44走者
牧子
 
いつの間にか百々子と恩田正平の2人の間には、連帯感が生まれていました。2人で一緒に逃げられるならどこまでも逃げてみよう、と百々子はそう思ったんです。この人はかわいそうな人。だから私が助けてあげなければと思いました。
 
日本の社会が生んだ恩田正平は、決して良いとは言えない人生を歩んできました。父親に捨てられ、母親は男に走りました。父親だけが悪いわけではありません。母親にも言い訳があったでしょう。結局は、そんな2人にしてしまった日本の社会が悪かったんです。その2人の息子がストーカー行為をするようになったのも日本の責任。だから、3人とも被害者なのです。正平のストーカー行為の原因は、日本の社会が生んだ必然なのです。だからか、百々子の中でふつふつと日本への憎悪が湧いてきました。
 
百々子は独り言のように「正平、外にいる警察はアメリカの警察よ。私たちを守ってくれている警察。敵は日本社会。ならば、彼らは私たちの味方。逃がしてくれるわ、きっと」と言いました。正平には意味が分かりませんでした。
 
正平はエンジンをかけました。その瞬間、外が一斉に明るくなりました。正平はもう逃げられないと思いました。百々子は逃がしてくれると思いました。
 
「ゆっくりアクセルを踏んで。ここを去りましょう」の百々子の言葉が車の中でこだまして、ゆっくり正平の耳の中に滑り込んできました。子どもの頃、取り乱した後の生気が抜けた母親の声を正平は思い出していました。
 
ここはどこなんだろう・・・。

 


 

第45走者
PP
 
鍵を回すと同時にアクセルを踏み込んだ。「警察の皆さん、僕たちは逃げます」の意思表示を示すために。
 
ワイパーを動かした。曇ったガラスを拭ぐおうとしたけど、曇っているのは内側だった。
 
ヘッドライトを点けた。外が明るかったので、変化はなかった。
 
右手でガラスを拭った。目の前はたくさんのパトカー。包囲されていた。
 
「そこをどいてください。ここを離れるので」と、もう一度そう伝えるためにアクセルを踏んだ。
 
右肩口から振り向き、百々子の顔を見た。穏やかな顔をしていた百々子。
ギアをドライブに入れた。同じタイミングでアクセルを踏んだ。
 
両手は10時と2字の位置でしっかりハンドルを握っていた。空を飛ぶように車は発進した。
 
氷の上を滑るように、何かに吸い込まれるように、車は発進した。車はパトカーの横に吸い込まれていった。
 
ここまで長かった。もっと早くそうしていれば良かった。ほっとした。ちょっと疲れた。今は眠りたい。

 

第46走者へ続く

 
 
 

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