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日本発豪州行き 蹴球戯言
Vol.237/2017/10

第39回「オーストラリア代表と日本代表の2014年以後」


  

日本代表のW杯予選は終わり、来年、ロシアで開催される本大会出場が決定しました。一方、オーストラリア代表はシリア代表とのプレーオフを本号出版時点には終えて、大陸間プレーオフ出場を決めていることと願っています。


 さて、国の威信を背負うA代表(フル代表)という存在は、主に4年周期のサイクルがあると言われています。選手なり、監督なり、そのサイクルに合わせて、目に見える形で交代することが多く、またきっかけのタイミングが4年ごとに行われているW杯となっています。そう考えると、2014年のブラジルW杯大会終了直後から始まった新しいサイクルの一端の終着点は、2018年のロシアW杯本大会になるわけですが、ここで恒例の質問です。



【Q】オーストラリア代表と日本代表のサイクルの終着 点となるロシアW杯後は、どのように展開すると思われますか?

【A】取り急ぎ、答えのない出題となり、すみませんでした。ただ、これまでの流れからどうなるかが予測できたので、あえて質問させて頂きました。では、どうなるか、予測の範囲ですが、ご説明します。

 オーストラリア代表のサイクルは、2010年の南アフリカW杯以後から始まったと言えます。グループリーグ敗退が決まった直後、就任したホルガー・オジェック監督からそのサイクルがスタートしました。オジェック監督は、2011年のアジアカップで早速、準優勝の実績を作りました。しかし、世代交代が上手くいかず、2013年に成績不振により現監督にバトンタッチしています。その現監督が、2014年のW杯出場を果たすために国内の選手を徐々に馴染ませ、W杯出場、またW杯以後にも急速に世代交代を進め、それに成功させました。そして、2015年の地元アジアカップにて優勝を果たします。この優勝は、2014年W杯以前からの現監督での継続路線を保てたことが成功の要因と言えるでしょう。


 そのポステコグルー現監督は、オーストラリア代表の印象を劇的に変えました。特に2015年のアジアカップにて披露したスタイルは、筆者には大きな衝撃を与えました。オジェック監督時代より選手の格は少々小粒になったと言わざるを得ませんが、戦術とテクニカルさを感じさせてくれました。


 オーストラリア代表は2015年のアジアカップを獲得し、アジアナンバーワンを4年間名乗ることに成功していますが、2018年のW杯本大会に出場できるか否かで、2015年以降の成功、不成功に大きく関わってきます。予選を含めたW杯直近の結果が悪くとも、W杯本大会に出場を果たすことができれば、これまでの実績から2014年以降の“それまでのサイクル”は成功の部類に入ってもおかしくないと思います。


 実際に監督解任の噂も聞こえてきますが、2018年のW杯出場を果たすためには現時点での監督解任は考えられず、余程有能な新監督が就任しない限り、アジアプレーオフ及び大陸間プレーオフを勝ち抜き、ポステコグルー監督は2018年まで任期を全うして、その後も更新するかもしれません(ただし、現在、相当マスコミから叩かれているようなので監督自ら更新を断るかもしれませんけどね)。個人的には、代表監督は自国民が就任すべきといった信念があり、これまで以上の実績を更にポステコグルー監督には積み重ねて欲しいと願っています。現ドイツ代表のような自国民監督による長期政権が望ましいと思っている筆者にとっての理想を実現にしてほしいといった期待も込めています。


 このようにオーストラリア代表にとって、ロシアW杯本大会出場を果たせればという条件付きですが、過去のサイクルも成功していますし、現監督の続投も現実的ではあるので、継続路線が引き続き敷かれるのではないかと筆者は予測しています。


 一方、日本代表監督は2014年のW杯終了直後、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督からメキシコ人のハビエル・アギーレ監督にバトンタッチされ、選手の引き継ぎも行われました。そして、アギーレ監督の元で世代交代を迎えようというタイミング(2015年のアジアカップ直後)で解任され、ドタバタ劇を披露し、ようやくフランス人のバヒィッド・ハリルホジッチ現監督が就任したという経緯があります。オーストラリア代表が、2013年に監督を交代させた時のように、本来交代すべきタイミングでの交代ではありませんでした。そこで現監督は、継続路線を踏襲せず、新たに新機軸を打ち出し、当初はなかなか結果を出せませんでしたが、先日、A代表監督の最低ノルマであるW杯本大会を果たすことに成功しました。


 そこで、日本代表はロシアW杯本大会の結果いかんによらず、サイクルは一端の終着点を迎えると考えられます。実際、2014年以降のサイクルは、アジアでの強国の一つといった立場を守ることもできたので、成功を収めたと言えるでしょう。しかし、外国人監督というものはW杯終了後、ステップアップのためヨーロッパ地域からのオファーを望んでいる監督が多く、どのような結果になろうとも契約更新することが考えにくいので、オーストラリアとは対照的に監督の続投は考えにくいでしょう。よって、継続路線は見直されると予測しています。


 2014年以後の両国A代表の実績を見てみると、2014年以前からの継続路線を踏襲していたオーストラリア代表が、サイクルの前半でピークを迎えてしまったのに対し、2014年以後のサイクルの途中で新機軸を打ち出した日本代表が、ちょうどW杯予選終盤にピークを迎え入れられたといった印象があります。W杯予選終盤の大決戦を観る限り、2015年アジアカップ当時にもっていた両国に対する印象が逆転してしまった感があります。2018年のW杯以降も筆者の予測とは反して、異なった様相となるかもしれませんが、引き続き2018年以降の新周期にも注目したいと思っています。


追伸:
現オーストラリア代表のポステコグルー監督は、2018年のW杯以後の契約満了時で監督の座から退くといったことを一部のメディアに話しているようです。