Vol.236/2017/9
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両国のサッカー界にとって重要な局面が終わりました。筆者は、この大注目カードをスタジアムで観戦したく、チケット抽選に応募しましたが叶わず、自宅にてテレビ観戦になってしまいました…。
オーストラリア代表0−2日本代表
公式戦は結果が全てです。この大決戦の結果、日本代表は2018年ロシアW杯本大会出場権を獲得し、オーストラリア代表は後記する日本の次の試合、“サウジアラビアvs日本”の結果に運命を委ねることとなってしまいました。両国に思い入れのある筆者にとっては、非常に複雑な心境でした。
日本における前評判は、“日本代表不利”の風潮が存在しました。勝利しか出場を決める算段がない日本代表に対して、オーストラリア代表に余裕が感じられたのです。また、先日行われたコンフェデレーションズカップを経験したオーストラリア代表は、自信を深めていたタイミングでした。オーストラリア代表のポステコグルー監督は「勝利にこだわる」と試合前の会見で発言をしていましたが、前日の直接のライバルであるサウジアラビア代表の敗戦の報もあり、最低でも引き分けて勝ち点1を積み上げたかったでしょう。
さて、今回は大決戦を観ての感想や思うところをお届けします。まず、最初の筆者の感想は「オーストラリア代表が何もできなかった」ということです。オーストラリア代表のフォーメーションは3−4−2−1でした。ショートパス主体でボールを前線へ運んでいくポゼッション志向の高いサッカーがコンセプトです。コンフェデレーションズカップにて強豪相手にある程度手応えがあったため、日本代表戦でも同様のコンセプトにて挑んでくることは想像に優しかったことでしょう。
一方、日本代表は完全にオーストラリア代表の良いところを消すサッカーに終始しました。それはスタメンを見ても明らかでした。日本代表の顔とも言えた本田選手、香川選手を外し、乾選手と井手口選手の先発。違和感さえ感じたスターティングメンバーでしたが、試合開始早々その意図は明らかになりました。前線は、大迫選手のポストプレーに頼り、乾選手と井手口選手は攻撃よりもオーストラリア代表の中盤の潰し役として、自分のポジションに関係なくボールを追いかけ続けていました。
オーストラリア代表はトップのRobbie Kruse選手がサイドに流れ、そのスペースに周りの選手が流れ込む形で日本代表のディフェンスを混乱させることを目指していたように感じましたが、経由する段階でボールホルダーが潰され、ショートカウンターをものの見事に喰らっていました。攻撃的中盤の要であるTom Rogic選手も効果的な形を作れず、イライラしているように思いました。また、サイドから度々相手陣内に侵入していたMathew Leckie選手に対する対策も施され、2015年のアジアカップで筆者が注目選手としてマークしていたMassimo Luohgo選手も常時数的不利な状況を作り出され、孤立してしまう時間帯が多かったように思いました。乾選手、井手口選手、浅野選手までがそれらの対策要員として使われていたのが印象的でした。
つまり、あの試合は日本代表のスカウティングの勝利だったと言えるでしょう。相手の長所を潰し、キープ力の高い大迫選手のポストプレー頼みの、少ない手数で得点を奪うことをコンセプトとされ、オーストラリア代表は日本代表の戦略にまんまとはまってしまい、なすすべなく敗れてしまいました。かつてのオーストラリア代表の代名詞とも言えた“キックアンドラッシュ”は鳴りを潜め、より近代的なサッカーに変貌させたことに成功したポステコグルー監督は、この試合に限っては自身の教義と殉教してしまったようでした。変化をもたらすことができなかったのです。
さて、最終節(サウジアラビアvs日本)の結果ですが、日本代表はオーストラリア代表に援護射撃をすることができませんでした。しかしながらオーストラリア代表も最終節有利と言われていた条件下で最低限の結果しか残せず、今予選グループ3位となってしまい、プレーオフ4試合に運命を委ねることとなってしまいました(かつて日本代表も陥ったポゼッション重視サッカーの弊害を感じました)。筆者の理想であった日本代表、オーストラリア代表の双方が、今予選の結果でW杯本大会出場を叶えることはできませんでした。
さて、ここで恒例の質問です。
【Q】オーストラリア代表は、グループ3位同士のアジアプレーオフに進出しますが、対戦国はどこで、開催日いつでしょうか?
【A】グループ3位同士のアジアプレーオフは、シリアと のホーム&アウェイでの試合となります。第1レグは10月5日(木曜日)で、シリアのホーム試合(試合会場は未定)。そして、第2レグは、10月10日(火曜日)にシドニーのStadium Australiaでオーストラリアのホーム試合が行われる予定です。
グループAのプレーオフ出場国シリア戦は、何が何でも勝っていただくことを前提に、当たり前の話ですが、北中米カリブ海予選4位チームとの大陸間プレーオフの相手になるであろうパナマ、もしくはホンジュラス(あくまでも筆者の予想)対策を念入りに行い、様々なシチュエーションに対応しうる布陣を考えるべきでしょう。
少々アジア王者として驕りがあったのかもしれません。かつて、オーストラリア代表の大陸間プレーオフはあまり好意的な結果を得てないと認識している筆者とて、内容よりも結果を重視し、選手たちには万全なコンディションと、監督及びスタッフには万全の対策を期待したいと思います。