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日本発豪州行き 蹴球戯言
Vol.232/2017/05

第34回「AリーグとJリーグにとってのACL」


  Aリーグは、ファイナルシリーズを迎えていますね。さて、結果はいかに?!そして、Aリーグのリーグ戦の結果は、来季のAFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League/アジアサッカー連盟<AFC>が主催するクラブチームによるサッカーの大陸選手権大会。略称はACL)出場枠を争う意味も持っています。それでは、恒例の問題です。

【Q】Aリーグ勢とJリーグ勢、どちらがACLで結果を残しているでしょうか?

【A】では、今までの実績にて比較をしてみましょう。

 

 AFCが、AFCチャンピオンズリーグを発足したのが2002年でオーストラリアがAFCに転籍したのが2006年。以降、Aリーグ勢がACLに参戦することになってからの実績を比較してみました。

 
 さて、左下記の実績を比較する前に、まずレギュレーションによる出場枠の差があります。Aリーグ勢は多くても3クラブ(プレーオフを突破できた場合)、Jリーグ勢は最大で4クラブが出場できる差があり、純粋な比較は難しいでしょう。ただ、その前提を踏まえて比較すると、ウエスタンシドニーワンダラーズや浦和レッズ、ガンバ大阪が優勝をしていますが、特にJリーグ勢が優勝を果たしたのは2007年、2008年であり、現在はベスト8を突破することさえままならない状況です。Aリーグ勢は、ウエスタンシドニーワンダラーズが2014年とJリーグ勢に比べれば近年に優勝という結果を残していますが、継続することができていません。

 実際、データを見るまでもなく両国リーグは苦戦をしています。両国リーグ勢の比較という意味では、どんぐりの背比べだと言わざるを得ませんね。その原因は、両国共通の要因があるように思います。それは、いまだに自国リーグの優勝に対してプライオリティーが高く、ACLに力を注げていないのです。リーグ運営側にも問題があるかもしれません。また、リーグ戦の日程は、ACL対策が万全に整えられているとは決して言えません。戦力的に過密日程に耐えうる体制が整っていないクラブが、背伸びをしてリーグ戦やカップ戦両方の優勝を目指し、さらにACLとなれば、まさに“二兎追うものは一兎も得ず”的な結果に繋がるリスクが高く、Jリーグ勢は下位リーグへ降格するといったリスクもあります。現にリーグ戦優勝を果たしたクラブが次シーズンに降格争いをしてしまったり、カップ戦が始まるまでは好調だったクラブがACL参戦を機に調子が下降線を描いてしまったケースが多いです。両リーグともに「グループリーグを突破し、決勝トーナメント進出を果たせれば、それ以降はあまり無理をせずリーグ戦に支障がない程度に頑張ろう」と考えているのではないかと思ってしまっています。

 現在行われている2017年シリーズのAリーグ勢はかなり苦戦を強いられており、またJリーグ勢はグループリーグ突破はできても他国の強豪を打ち負かすほどの期待感は持てません。グループリーグの対戦結果が決して安穏としていられる内容ではなかったからです。

 このような状況を打開するには、以前ほど他国リーグ勢と実力差がなくなり、モチベーションの対象にACLがいまだになり得ていないといった現状でも、リーグ優勝を果たすこと以上に経済的な魅力やACL優勝へのステイタス欲を更に満たすものを用意しなければ、両国が抱えている問題に対する答えは見つからないでしょう。