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日本発豪州行き 蹴球戯言
Vol.227/2016/12

第29回「日本代表観戦記(番外編) 」


 このコーナーでは通常、オーストラリアと日本のサッカー事情を戯言のように紹介させて頂いていますが、2016年11月15日、埼玉スタジアムにて行われた「日本代表vsサウジアラビア代表」戦を筆者がスタジアム観戦してきましたので、今号は「観戦記」をお届けします。

 今回の観戦は、友人からの誘いで実現しました。日本代表戦のチケットは、やはりプラチナチケットで、抽選で当たらないと買うこともできないのですが、W杯アジア最終予選前半戦の大一番と言われていたカードの試合をその友人が強運にも当てることに成功しました。試合当日は平日であり、仕事を早々に終わらせ、19:15のキックオフ前にスタジアムへ乗り込むため、早めに出発しました。電車の乗り換えを重ねていくうちに日本代表のユニフォームを着たサポーターが増え、車内はごった返してきました。さすがに海外サポーターのように電車の中で歌いだすような熱狂的なサポーターはいませんでしたが…。

 17:30頃、最寄の駅に到着。駅からスタジアムまでは約1.2kmあり、人混みが苦手な筆者はスタジアム到着前に相当な疲労感に襲われるのではないかと心配しましたが、そこはさすがの代表戦!道中には様々な屋台が出ていて、一緒に行ったその友人とビール片手におつまみをその都度買いたし、途中で日本代表ユニフォームを重ね着し、お上りさん的な記念撮影もしながら、徐々に日本代表のサポーターの一員に馴染んでいく高揚感を味わうことができました(この時点でビールを2杯、飲んでいます<笑>)。

 18:00頃、受付と手荷物検査を受け、いざスタジアム内へ。スタジアム内の売店でビールの買いたしを済ませ、チケットを譲ってくれた他の友人達と席で合流。その友人達も既にビールを飲んでおり、試合開始前の時点でテンションはかなり高めです。そして、プログラムを眺めながらみんなで代表談義!筆者は、この手の談義が大好物で、約1時間「あーでもない、こーでもない」と言った不毛な会話をしつつ、時折ウンチクを垂れながら、目の前では選手達のウォーミングアップが始まりました。

 ゴール裏に陣取ったサポーター達の雄叫びが、スタジアム内を木霊します。筆者達の席は幸か不幸か記者席の直上辺りで、試合を俯瞰で見るには最高の位置でしたが、応援の一体感を味わうには少々物足りない位置でした。ただ、試合開始前の国歌斉唱の瞬間、横並びの友人達みんなは愛国心溢れるサポーターへと変身し、右手を胸の日の丸に当て、「君が代」を大合唱しました。あれは、気持ちよかったです!

 19:15、ほぼ定刻通りにキックオフ!筆者の“独り言オンパレード型観戦”が炸裂しまくりました。叫んでみたり、呟いてみたり、けなしてみたり。日本代表が得点を入れた際はそれはそれはもう今までにないくらい叫びました。皆とハイタッチしまくりでした!

 試合内容は、意外にサウジアラビアが“ガツガツ来ないなぁ”といった印象を受けました。試合の最後、少々危ないシーンの連続もあり、長いアディショナルタイム中、ハラハラさせられましたが、2対1で勝利することができ、“おおむね”満足できる観戦でした。ちなみに、“おおむね”と言ったのは、帰りの混雑があったからです。先にも言いましたが、筆者は人混みが苦手です。しかし、試合終了とともに約6万人が一斉に一つの最寄り駅まで移動するわけですから、ある程度覚悟はしていましたが、筆者の想像以上の混乱に試合の余韻が吹っ飛んでしまいました。実は、友人の一人が車で来ていたので乗せてもらい、喧騒からようやく脱出することができましたが、それでも駐車場まで1時間以上かかりました。あのまま電車で帰ろうとしたら、どれ程の時間と労力を使ったか…。あの帰路で、かなり体力は消耗しました。

 しかし、やはり試合観戦はスタジアムでするべきですね!あの臨場感、なんとも言えない盛り上がり、みんなで歌う国歌斉唱、得点が入った際の一体感、危ないシーンをしのげた時の安堵感、選手同士の小競り合いに対するブーイングなどなど。テレビの画面では伝わらないことがたくさんありました。また、本誌で生意気にも戦術的な戯言を発している筆者ですが、テレビでは確認することが難しい両チーム20人の選手がグランドのほんの一部を使って、コンパクトに試合を展開している様には、今更ながら驚いてしまいました(笑)。

 クラブチームの対戦で埼玉スタジアムの観戦歴はありましたが、“代表戦はお金を払ってでも観に行く価値がある”といった発言は真理なのかと思いました。愛国心がくすぐられ、勝負に悲喜交々できるのは、やはり代表戦なんだなぁと…。