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日本発豪州行き 蹴球戯言
Vol.221/2016/06

第23回「オーストラリアと日本のメジャータイトル」


ヨーロッパと南米では、大陸ナンバーワン代表を決するヨーロッパ選手権とコパ・アメリカが開催されています。また、眠れない夜が続きそうです。さて、問題です。

【Q】オーストラリアと日本では、どちらが多くのタイトルを獲得しているでしょうか?

【A】以下が、獲得タイトルです。

【オーストラリア】
 アジアカップ 1回
 AFCチャンピオンズリーグ 1回

【日本】
 アジアカップ 1回
 AFCチャンピオンズリーグ 2回
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 AFC U-16選手権 1回
 アジア競技大会 1回

 まず、国(A)代表レベルで、2006年1月にオーストラリアがAFC(アジアサッカー連盟)に転籍してからの結果として、2014年自国開催のアジアカップ優勝。それに対し、日本A代表は、2011年カタール開催のアジアカップ優勝。

 そして、クラブチームレベルでは、大陸ナンバーワンを決めるAFCチャンピオンズリーグで、オーストラリアは2014年にウエスタン・シドニー・ワンダラーズが優勝。それに対し日本は2007年に浦和レッズ、2008年にガンバ大阪が優勝しています。

 しかし、これらはアジアの中でのメジャータイトルです。本当の意味でのメジャータイトルとなればW杯本大会であり、クラブW杯になるわけですが、残念ながら両国の実績にはいまだにこれらのタイトルはありません。現状から考えれば、両国の代表やクラブがこれらの大会にて優勝をするには、まだまだ歴史や実績の積み重ねが足りず、実力もないと思います。今後の両国の不断の努力に期待しましょう。

 それでは少し裾野を広げ、他のカテゴリーでの実績はどうでしょうか?例えば、アンダー世代のW杯であったり、U-23+のオリンピックやアジア競技会などです。まず、アンダー世代のW杯は2つのカテゴリーがあります。FIFA U-17W杯とFIFA U-20 W杯です。両国の実績は、こちらも本大会での優勝実績がないため、予選を兼ねたアジアサッカー連盟(AFC)が主催するAFC U-16選手権とAFC U-19選手権の実績を比較してみましょう。U-16世代では、オーストラリア代表は残念ながら優勝の実績はありません。一方、日本代表は2006年に優勝しています。AFC U-19世代では両国とも優勝の実績はありません。

 次に、U-23+のオリンピック本大会では、やはり両国のタイトルはありません。アジア競技会は、日本代表が2010年の中国広州大会にて優勝をしています(オーストラリアは参加をしていません)。

 追記として今回、オーストラリアがAFCに転籍してからの比較としたのは、OFC(オセアニアサッカー連盟)ではオーストラリアは圧倒的な実績を重ねてきましたが、加盟国の規模や実力面ではAFCにおける両国の比較が妥当だと考えたからです。実際、W杯出場の実績はオーストラリアの方が先行していますし、OFCネイションズカップの優勝回数は4回を数えます。AFCチャンピオンズリーグ以前のアジアクラブ選手権やカップウィナーズカップとOFCチャンピオンズリーグの前身であるオセアニアクラブ選手権の優勝回数比較ならばオーストラリアの方が、実績があるとも言えるかもしれませんね。

 さて、以上の実績(オーストラリアのAFC転籍以降)を比較してみると、優勝回数では日本の方が少々上まっているようですが、大会の規模や重要度が高いアジアカップとAFCチャンピオンズリーグの戦績からみれば、横並びと言えるでしょう。プロリーグ創設の歴史の違いから、若年世代の育成面は日本が先行していたことは間違いないですが、近年のAFC U-16選手権やAFC U-19選手権の結果から、オーストラリアがその分野でも日本を凌駕し、経験値は逆転しつつあります。このような若年世代の実績は、A代表にも大きく影響を与えることでしょう。ということで、2006年以降の獲得タイトルは日本が勝っていましたが、今後獲得できるであろうW杯やクラブW杯等のメジャータイトルは、オーストラリアが先に獲得をするのではないかと、実は筆者は予想しています。