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リレー小説
Vol.227/2016/12
第6回
前回の2名の投稿を1名の方がバトンを受け継ぎました。


【前回までのあらすじ】
沢田百々子、30歳。失恋を機にサンフランシスコからパースへ。パスポートの再発行も済ませるも、百々子の身の回りで不可解なことが…。

第8走者
筆者:JuyJuy


 失恋してパースへ。何もかも、忘れたかったから知らないところに。パースポートを失くして、ちょっと面倒なことになったけど、再出発の場所がパースかな、とぼんやり。

 貯金していたから、無理に働く必要はない。サンフランシスコでは忙しかったから、ちょっとのんびりしよう。8時に目が覚め、シリアルを食べて、中庭でぼーっと。その後、着替えて10時にバックパッカーを出た。Hay Streetを歩いて、お寿司屋さんをのぞきながら、街の中心をフラフラ。

 いきなり声をかけられた。見覚えある顔だけど、「時間ありますか?」と日本語で。時間はあったけど、いやぁ〜と首を振った。その男、そのままLondon Courtの方に行っちゃった。

 Murray Streetのカフェに入って、ラテを頼んだ。空港で飲んだショートブラックは、私にはにがいので、あれ以来、ご無沙汰。「ふぅ〜、誰だ、あの男。ちょっと気持ち悪いな…」と思いながら、スマホでラテ・アートを撮ろうと思ったら、間違えて写真のアイコンをタップ。そしたら、サンプランシスコの時の写真が。

 えっ、まさか。。。。

 さっき、声を掛けてきた男、サンフランシスコでやんちゃしていた時にRisaが一回連れてきたことのある男かも。はすに構えてRisaと映っている写真。えっ、その横顔はもしかすると、バックパッカーで到着翌日に見かけた、横顔といっしょ。ということは、同じ飛行機でパースに来て、税関で同じ列に並んでいた男も。。。

 頭が混乱して、手が震えて、目に入っているはずの風景が認識できなくなっていた。その時間がかなり長かったように感じたけど、実際は一瞬だったんだと思う。それから、自分に冷静に、落ち着いて、偶然だよ、と言い聞かせた。

 偶然にもパースが同じ行先となって、宿泊先も偶然いっしょ。声をかけてきたのは、偶然、シティで見かけただけ。そう思って、心を落ち着かせた。


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