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リレー小説
Vol.226/2016/11
第5回
今回は、2名の投稿者の複数掲載とさせていただきました。


【前回までのあらすじ】
沢田百々子、30歳。失恋後、サンフランシスコからワーキングホリデーでパースへ。失くしたパスポートを領事館で再発行してもらった。

第6走者
筆者:TO☆MA


 パスポートはなんとか再取得できた。やっとこれで新しい門出を迎えられる。

 バックパッカーズの受け付けの大柄の男の名前は、ガブ。ここに着いた初日はやけにぶっきらぼうだったけど、1週間も毎日顔を合わせているとそれなりにコミュニケーションをとるようになり、悪いヤツじゃないことが分かった。そのガブが、「昨日、チェックアウトした男、お前のことを探るように俺にいろいろ聞いてきたゾ」と言ってきた。「で、あなたはなんて答えたの?」と聞くと、ガブは肩をすくめて「何もしらねぇよ、と言ったよ」と。そう言えば、私にもこの一週間、妙なことが2、3回あった。

 3日前、買い物から帰ってきて部屋に戻ったら、私のスーツケースの置かれている位置が変わっていた。私の部屋には、女子が私含めて4人いる。2人はアイルランドから来た友達同士で、ワーキングホリデーでパースへ来たそうだ。2人とも仕事をしているので、朝早く部屋を出て、夕方遅くに帰ってくる。もうひとりは、ブラジルから来ている留学生。フレンドリーで、開放的な感じの女の子。身の回りの片づけが苦手なのか、いつも散らかっているけれど、頑張って片付けした時に私のスーツケースを動かしたかも、とその時は思った。

 あと、ほぼ毎日、中庭で夕食を食べ終わって同じバックパッカーズの宿泊客とお酒を飲みながら話していると、何か視線を感じていた。お酒を飲んでたし、初めての土地で、バックパッカーズだし、どこか落ち着かないからだろうと思っていたけど、ずっと見られている感じはしていた。

 そして、昨日の朝。前の日の残りのパスタを食べようと冷蔵庫を開けたら、容器に入れたそのパスタがなかった。冷蔵庫も宿泊客とシェアしているから、食材とかがなくなるのは理解できるけど、調理された食べ物がなくなるのは不思議だった。容器もプラスティックの使い捨てのやつだからそこまで気にしていなかったけど、さすがに気持ち悪かった。

 そんなことを受け付けの向かいに設置してある無料WiFiエリアで、携帯をいじりながら考えていたら、ふと、ここに着いた日の翌日の朝を思い出した。同じ飛行機で、同じバックパッカーズにチェックインした男性の横顔を。どこかで会っているような、その横顔を…。


第7走者へ続く


第7走者
筆者:りさ


 サンフランシスコでは中国系のお友達が多かったわ。そもそもアジア系と言われる人の多くは、中国かフィリピンの人たちばっかりだったから。彼らとはアウトドアというより、インドアで遊んでたけど、よく夜に外食にも出かけたわ。ナイトクラブにも。渉君とカップル同士で出かけたこともあった。一番仲良かった子はRisa。いい子だった。ちょっと男グセが悪かったけど(笑)。連れてくる男の子が毎回、違うんだもの!顔も可愛いからしょうがないんだけど。

 こんなこともあったわ。一回だけじゃないけど(笑)。私達カップルと、RisaとRisaが連れて来た男の4人で遊んで、同じ部屋で朝を迎えること。お酒を飲んでたから、ちょっとヤバイ雰囲気になって、別々のソファーだったけど、私達カップルとRisaカップルもやることやって(笑)。私達も若かったから、できたこと。今じゃ、考えられないわ。あー、Risa、今、何してんだろうな〜。ちゃんとひとりの人と付き合えるようになったかなぁ(笑)。私は、渉君と別れちゃったけど。


第8走者へ続く