「視線のその先には」

そこに、資源に群がる国家や多国籍企業が合法的に襲いかかった。そこをどけ、と。これまで、歴史的に力で辺境に追いやられて来た人びとにはもう行くところがない。彼ら、先住民族(先住民ではない)の人びとは、抵抗し始めた。世界的な規模でのその抵抗運動は、しずかに、多くの犠牲を払いながらも起こり始めた−−−そんな思いつきが頭をめぐっていた。
グアテマラもビルマも、それ以外の地域でも同じような行動がこれから表立って起こるだろう。その抵抗運動がハッキリと目に見える形になったのが、ナイジェリアであった(と思う)。作家で民主化運動家のケン・サロ=ウィワは1995年、時の軍事政権のサニ・アバチャ将軍によって絞首刑に処された。

どこの国でも、軍の暴力は、自国民に銃口を向ける。ナイジェリアはその一つの証でもある。そんな時に出会った本が『ナイジェリアの獄中から』であった。一晩で読了し、すぐにでもナイジェリアに行きたかった。
自分自身は、普段はカメラを持って、現場をかけずり回るのが主な仕事だと思っている。常に、目の前の事象だけに注意を払いがちである。だが、時に、地球規模で世界的に何が起こっているのかを思いめぐらせるのもまた必要なのではないか。中米−アジア−アフリカ−(そして南半球の)オーストラリアを結んで、世界全体を見渡す視点を持ちたいと思った。資源の収奪は今、世界中で同時進行で起こっている。現場の蟻目と世界を見渡す鳥の眼と。身体と意識を駆使して、3次元半の世界を駆けめぐりたい。
   


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