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フォトジャーナリスト宇田有三氏による衝撃ルポ

On The Road by.Yuzo Uda
Vol.163/2011/8

「ビルマ(ミャンマー)の女性たち(1)」




  東南アジアのビルマ、タイ、カンボジアや南アジアのスリランカは、「上座仏教」の国である。これらの国々では、厳しい戒律を伴う仏教が、国教といってもいいくらい人びとの間に浸透している(ビルマでは例えば、80%以上が仏教徒である)。
一口に仏教と言っても、日本の大乗仏教と上座仏教(少し前までは蔑称気味に「小乗仏教」とも呼ばれた)とは、実は全くことなる宗教である。日本の大乗仏教は、どちらかといえば「絶対神」を持つキリスト教やイスラームに近いともされている。
上座仏教では、釈尊(ブッダ)の教えをそのまま引き継いでいる。そのため、ある意味、現代にはそぐわない社会観を歴史的に引きずっている。例えば、女性の地位は男性より一段低いと見なされている。
毎日の暮らしの中で、女性を中心に生活が営まれていたとしても、いったん「人の生き様(人生)」を考える段になると、上座仏教が根強く生きるビルマ社会での女性たちは、男性の後ろに下がらねばならない。

(続く)

乱闘寸前までの立ち回りを演じる女性たち 女性たちは、一段低い位置で作業に当たる。
自分の生まれた曜日と方角で手を合わせる決まりになっている。 (上左)市場で売り場の場所をめぐって、乱闘寸前までの立ち回りを演じる女性たち。

(上右)仏像を磨く敬虔な仏教徒のビルマ人たち。もっとも女性たちは、仏像や男性と同じ位置に立つことはできないため、一段低い位置で作業に当たる。

(下左)ビルマの暦では1週間は8つに分けられ(西暦の水曜日が午前と午後の2つある)、自分がどの曜日に生まれたかで、その人の運命は定められている。また、名前の一部分にその人の生まれた曜日が含まれるように名付けられる(名前を見ただけでその人が何曜日生まれなのか分かる)。お寺にお参りに行くと、自分の生まれた曜日と方角で手を合わせる決まりになっている。