Vol..146/2010/3
「差別の構造」

 今回は、昨年12月から今年1月半ばまで取材した「ロヒンギャー難民」の話を取りあげたい。ロヒンギャーとは、ビルマ軍政の迫害によってバングラデシュに避難民として逃れ出たイスラームを信仰する人々のことを指す。あまり馴染みのない言葉だが、インターネットで検索すると、このロヒンギャーについて数多くヒットする。
  毎度のことながら、ビルマ関係の話を取りあげると、まずその関連項目の呼称が統一されていないのに戸惑ってしまう。例えば、ロヒンギャーは「ロヒンジャ(ー)」、「ロヒンギャ」とも表記される。
  ロヒンギャーのほとんどは、西ビルマ「ラカイン州」に暮らしており、そのラカイン州から自然の国境線であるナフ河を越えてバングラデシュ領に渡ってきた。この「ラカイン」という表記も、人によっては「アラカン」「ヤカイン」と表記する。ラカインをローマ字で表記すると「Rahkine」と綴る。ビルマ語の発音は、R音がY音に変わるためYahkine(ヤカイン)となる。

 
難民キャンプに暮らすロヒンギャーたち。あちこちで頭についた虱をとる光景を目にする。ムスリムの女性が頭にスカーフを被らない写真を撮るまでに2週間を要した。


クトゥパロンの難民キャンプ。公式キャンプ(右)にはトタンで覆われた洗い場やトイレ、井戸が整備されている。一方、非公式キャンプの方は粗末な家屋が建ち並ぶ。
 


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