日本の消費者団体によるWA州へのGM作物栽培のモラトリアム継続の要請は、昨年10月に別の代表者3名が訪れたものに続き2度目となり、今回もWA州農業・食品省のキム・チャンス(Kim
Chance)大臣に要請書を手渡し、モラトリアム継続を強く訴えた。これを受け、チャンス大臣は同州政府にはモラトリアムを撤回する予定はないと前向きな姿勢を示した。
以下は、過密な日程を終えた「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局員の小野南海子氏へのインタビュー。
Q:今回はモラトリアム継続に関して、2度目の使節団の訪問となりましたが、2度にわたり訪問された理由を教えて下さい。
A: 今年12月がモラトリアムの期限ということで、WA州にもいろいろな揺れ動きがあるのではないかと思っていました。そこで、是非もう一度こちらに来て、日本がWA州から多く輸入しているナタネのGM栽培をしないでほしい、ということを要望することになり、今回の訪問に至りました。
Q:今回は、ウィリアムズ(パース南にある町)でナタネ農家とのフォーラムもあったとお聞きしました。
A; はい、フォーラムには100人くらいが出席してくれ、関心の高さを感じましたが、フォーラムでは、農家の方々は市場でどれだけ売れるかというところだけを見ているようでした。しかし、私たちと実際話し合うことができたことで、それは市場が判断するものではなく、食べる人が判断するということを分かってもらえたのではないかと思います。
Q:オーストラリアの東側の州では、今年に入りGM作物栽培のモラトリアムを解除したところがありました。WA州に関して、この影響をどのようにお考えですか?
A: 私たちの感触では、WA州はもうしばらくキム・チャンス大臣が働きかけてくれると思うので、あと4年くらいは大丈夫だと思っています。しかし、東側で栽培ができるようになりましたので、WA州の農家や政府にもやはり戸惑いがあると思います。
Q:今、世界で食糧不足や食糧の値段の高騰がありますが、GM作物がその解決策になるということはあるのでしょうか?
A: GM作物が最初に導入された時から、推進側はGM作物が食糧危機を救うというのが謳い文句でした。でも10年経って、ますます食料危機がおきていますよね。GM作物は食糧不足などの解決にはならないことは、現在の状態で証明されたと思います。
Q:今の世界的な食糧事情について、一人ひとりの消費者レベルでは何ができるのでしょうか。
A: 日本は40%くらいしか自給率がありませんが、今までは食料を輸入で賄っていました。今、だんだんそれが難しくなってしまっています。日本はお米があるので、みんなでもっとお米を中心にした食生活に少しずつ変えていくなど、食への意識を変える必要があると思います。今、一般の消費者は、それについてようやく気付き始めています。
今回の日本からの使節団(小野氏は写真前列 右から2人目)。
取材協力:グリーンコープ、きらり、大地を守る会、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、Conservation
Council of WA
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