パースエクスプレスVol.126 2008年7月号



≫ パース発 オーストラリアの観光業が世界へ
西豪州にGM作物栽培停止の延長を要請 日本の使節団がパースへ



 社会
  パース発 オーストラリアの観光業が世界へ

6月14日から20日の7日間、パース・コンベンション・エキシビジョン・センターで、オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(Australia Tourism Exchange:ATE)が開催された。

 オーストラリア政府観光局が主催するATEはオーストラリアの観光見本市で、南半球一の規模を誇る。期間中は、オーストラリアの観光業者(売り手)にとって、世界中から集まった旅行代理店などの卸売り業者や小売業者(買い手)にそれぞれの魅力や特徴を紹介・宣伝する機会となり、海外からの観光客を誘致するとともに、グローバル・ネットワーク上にオーストラリアの観光をPRすることを目的としている。また、海外から訪れる買い手業者の人々に、実際にオーストラリアの生活や魅力を体験してもらうことにも重点が置かれている。
 今年パースで行われたATEでは、始めの3日間がアジア各国から、その後の4日間は欧米、アフリカ、ニュージーランドなどからの買い手業者との取引に充てられた。会場には、約630の国内を代表する観光業者が大小の様々な工夫を凝らしたブースを展開し、600社を超える買い手業者は興味のある売り手業者と事前にアポイントメントをとり、限られた時間の中で地域やツアーなどの説明を受けていた。
 現在、オーストラリアの観光業は年間約850億豪ドルの経済効果を持ち、雇用者数は全体の約5%を占めることから、国内産業を支える重要な役割を果たしている。また同イベントで西オーストラリア(WA)州政府観光局より発表された2007年の同州の観光業統計によると、海外からの訪問者数は65万人超、約16億豪ドルの消費があったとされた。その中で、日本からの訪問者数は全体で4位の7%だった。
 ATEは年に1回、国内の一都市で行われ、今年パースは2005年に続き2回目のホスト都市となった。来年は、メルボルンで開催される予定。


■ATEの様子

ATEが開催されたパース・コンベンション・エキシビジョン・センター入口。

一際目を引くWA州政府観光局のブース。
WA州で開催されるイベントの数々が、センター内の通路に展示された。
 
 
売り手業者が熱心にサービス説明をする。 ビクトリア州のブース。各州・地域はそれぞれ独特のデザインのブースを作り、買い手の関心を集めていた。

 
 
情報提供:オーストラリア政府観光局
西オーストラリア政府観光局
 
 社会
  西豪州にGM作物栽培停止の延長を要請
日本の使節団がパースへ

去る6月中旬、日本の消費者団体の代表者で構成される使節団がパースを訪れ、今年12月に期限が切れる西オーストラリア(WA)州の遺伝子組み換え(GM)作物栽培の一時停止措置(モラトリアム)の継続を要請した。

 日本の消費者団体によるWA州へのGM作物栽培のモラトリアム継続の要請は、昨年10月に別の代表者3名が訪れたものに続き2度目となり、今回もWA州農業・食品省のキム・チャンス(Kim Chance)大臣に要請書を手渡し、モラトリアム継続を強く訴えた。これを受け、チャンス大臣は同州政府にはモラトリアムを撤回する予定はないと前向きな姿勢を示した。
 以下は、過密な日程を終えた「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局員の小野南海子氏へのインタビュー。


Q:今回はモラトリアム継続に関して、2度目の使節団の訪問となりましたが、2度にわたり訪問された理由を教えて下さい。
A: 今年12月がモラトリアムの期限ということで、WA州にもいろいろな揺れ動きがあるのではないかと思っていました。そこで、是非もう一度こちらに来て、日本がWA州から多く輸入しているナタネのGM栽培をしないでほしい、ということを要望することになり、今回の訪問に至りました。


Q:今回は、ウィリアムズ(パース南にある町)でナタネ農家とのフォーラムもあったとお聞きしました。
A; はい、フォーラムには100人くらいが出席してくれ、関心の高さを感じましたが、フォーラムでは、農家の方々は市場でどれだけ売れるかというところだけを見ているようでした。しかし、私たちと実際話し合うことができたことで、それは市場が判断するものではなく、食べる人が判断するということを分かってもらえたのではないかと思います。


Q:オーストラリアの東側の州では、今年に入りGM作物栽培のモラトリアムを解除したところがありました。WA州に関して、この影響をどのようにお考えですか?
A: 私たちの感触では、WA州はもうしばらくキム・チャンス大臣が働きかけてくれると思うので、あと4年くらいは大丈夫だと思っています。しかし、東側で栽培ができるようになりましたので、WA州の農家や政府にもやはり戸惑いがあると思います。


Q:今、世界で食糧不足や食糧の値段の高騰がありますが、GM作物がその解決策になるということはあるのでしょうか?

A: GM作物が最初に導入された時から、推進側はGM作物が食糧危機を救うというのが謳い文句でした。でも10年経って、ますます食料危機がおきていますよね。GM作物は食糧不足などの解決にはならないことは、現在の状態で証明されたと思います。


Q:今の世界的な食糧事情について、一人ひとりの消費者レベルでは何ができるのでしょうか。

A: 日本は40%くらいしか自給率がありませんが、今までは食料を輸入で賄っていました。今、だんだんそれが難しくなってしまっています。日本はお米があるので、みんなでもっとお米を中心にした食生活に少しずつ変えていくなど、食への意識を変える必要があると思います。今、一般の消費者は、それについてようやく気付き始めています。


今回の日本からの使節団(小野氏は写真前列 右から2人目)。

取材協力:グリーンコープ、きらり、大地を守る会、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、Conservation Council of WA

 

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