パースエクスプレスVol.111 2007年4月号


≫ 日豪が戦略的パートナーシップを締結 全豪サーフライフセービング選手権大会
≫ 在パース日本国総領事 有吉 宏之氏 離任
≫ 「Fine Food Perth」開催
≫ 人気ヘビーロックバンド「Boris」 パース上陸!


 スポーツ
  日豪が戦略的パートナーシップを締結
全豪サーフライフセービング選手権大会

3月20日から25日の6日間、全豪サーフライフセービング選手権大会がスカボロビーチで行われた。
今年はオーストラリアのサーフライフセービングクラブが組織化してから100年目を記念する「サーフライフセーバー年」ということから、各種セレモニーが期間中に執り行われるなど、大会は例年以上の盛り上がりをみせた。
 大会4日目の23日、日本ライフセービング協会(JLA)とオーストラリア・サーフライフセービング協会(SLSA)が戦略的パートナーシップを結ぶ調印式が開かれ、JLAの小峯力理事長とSLSAのロン・ランキン会長が署名、今後の相互協力を固い握手で確認した。式典後、小峯理事長は今回の協定締結について「水辺での安全を守るという第一段階を越えたJLAにとって、これからはオーストラリアのように1人1人が自分の身を守るという認識を育てること、水辺以外でのライフセービングの教育活動を行っていかなければいけないと思います。今回の調印により、今後SLSAからはそのような教育プログラムを紹介して頂き、それを日本独自の形で行っていきたいと思います」と今後の展望を語った。小峯理事長はその他に「私自身も過去に、ここオーストラリアに来てライフセービングの資格を取得し、それを日本に普及させるために今日まで活動してきました。今回オーストラリアに来て、ライフセービングの素晴らしさを再度肌で感じ、今までやってきたことは間違いではなかった、と心から思いました」と今回の来豪によって感じたことを語った。
 同大会には、オーストラリア各地にあるサーフライフセービングクラブ(SLSC)から約6,500選手が参加、日本からは23人の選手が代表チームとして初めて同大会に出場し、サーフライフセービングの技術を競い合った。しかし、多くの日本人選手が大会4日目までに敗退、このことに小峯理事長は「全ての選手が日本では大変な実績を持ちますが、本場オーストラリアではほとんど歯がたちません。まず、地元の選手の力に直に触れることによって、ライフセービングに必要な技術の高さを感じて欲しいですね。負けを知って勝ちの正体を知る、と言うように、初心を思い出してこれからの活動の糧にしてもらいです」と述べた。その中で、同日ビーチフラッグス成人の部の準決勝に出場した日本人選手3名が決勝進出を決めた。昨年3位の実績を持つ本多辰也選手(東京消防庁ライフセービングクラブ)は、「決勝進出できたのは、予選から全力でやってきたからだと思います。決勝では、日本代表の一員として是非良い結果を出したいです」と、翌日の決戦への抱負を語った。
 大会5日目、成人の部決勝戦では、ビーチフラッグスで日本の植木将人選手が堂々の3位で銅メダルを獲得、本多選手は6位、女子の部で遊佐雅美選手が7位に入賞した。また西オーストラリア(WA)州の選手で活躍し見事金メダルを獲得したのは、サーフボート・レースでNorth Cottesloe SLSCのチーム(2年連続)、女子2kmビーチランでCity of Perth SLSCのAlison O’Toole選手(3年連続)、ビーチスプリントで同クラブのDean Scarff選手などであった。また、全競技終了後に発表されたクラブ別順位では、決勝での結果により得られたポイント合計の高いクラブからランク付けされ、WA州からは上位20クラブにCity of Perth SLSC(6位)、Trigg Island SLSC(7位)、そしてScarboro SLSC(15位)が入った。
次回の全豪選手権は、来年再びスカボロビーチで開催される。


 政治
  在パース日本国総領事 有吉 宏之氏 離任

3月12日、在パース日本国総領事の有吉宏之氏の離任式がパーメリア・ヒルトンホテルで行われた。3年間の任期中、地元のコミュニティを中心に精力的に講演を行い、日豪の友好交流などに尽力したほか、実行委員長として昨年の日本パビリオンの成功に大きく貢献した有吉氏に、離任直前の心境を伺った。
Q:パースでの生活はいかがでしたか。
ー今から考えると、すごく気負いをもってやってきましたし、すごく忙しかったですね。パースは、素晴らしい場所でした。趣味の映画鑑賞にも最初の1年目や2年目は、月に3回くらい行きました。しかし、60箇所以上もゴルフ場があるのに、4ヵ所ぐらいでしかプレーできなかったので、やはり、全てのコースを踏破したかったですね。旅行もあまりできませんでしたし、もう少しここでの生活を楽しむべきだったということを、離任前の1週間くらいになってようやく気がつきましたね。

Q:パースでの総領事としての公務について。
ー私の考えでは、総領事は椅子に座っているだけでみんなが認めてくれる時代ではないというのがあり、日本人の代表として、外に出て、目に見える活動をするということが大事だと思い、それを率先して3年間やってきました。私が動くことによって、日本の存在感を示せればそれでいいと思ったからです。私は、形式というものには全くこだわりを持たないので、地方のロータリークラブや大学などにも行って、できるだけ多くの講演をするようにしました。

Q:一番思い出に残っていることをお聞かせ下さい。
ーやはり昨年のパースロイヤルショーで開催された日本パビリオンですね。私は、「口コミは広がりをみせる」という信念を持っていましたので、総領事としてパビリオンのPRを州政府や学校、地域のソーシャルクラブなどで一生懸命致しました。また、パース商工会議所の方や日本人会の方にもパンフレットの配布などでご協力を頂きました。そのような地道な活動が、たくさんの人たちの来場を呼び、楽しんで頂いた成功の秘訣だったと思っています。また、ホンダの「ASIMO」という日本の最先端技術を、来場した地元オーストラリア人の子ども約2〜3万人に見てもらいました。きっと彼らは、高校生くらいになってもその記憶から日本を見てくれると思いますので、私はそれをすごく価値のあることだと思っています。今回、離任につき各企業、関係者に挨拶をしていますが、どこでもパビリオンについては話題に上がります。とても嬉しいですし、それ位多くの方に興味を持って頂いたパビリオンにお力添えを頂いた、たくさんのボランティアの方や関係企業の方に感謝しております。

笑顔でパースでの思い出を回想する有吉総領事

有吉宏之総領事略歴
1945年6月24日生まれ
1968年 外務省入省
〜1996年までの間3回、
在イラン大使館勤務
1980年 在オーストラリア大使館
1987年 アメリカ合衆国 在シアトル総領事館
1996年 在ニュージーランド大使館
2000年 国際情報局調査室長
2002年 参議院国際部国際交流課長
2004年 在パース総領事
2007年 ブラジル 在ベレン総領事
家族構成:夫人、2子
Q:今後は、ブラジルのベレンで総領事として着任するとお聞きしました。着任への抱負をお聞かせ下さい。
ーベレンは、ブラジルの北東にあるパラー州の都市で、アマゾン川の河口に近いところです。人口は140万人ほどで、同州には日系人2万人近くが住んでいます。パラー州は、資源の多いところで世界最大と言われる鉄鉱石鉱山のカラジャスがあります。その他にも銅、ニッケル、アルミニウムなどの資源を世界中に輸出していて、日本にとってもとても重要な場所です。目標としては、同じ資源大州の西オーストラリアでの経験を生かしていければと思います。そして、来年は日本人のブラジル移住100周年という記念すべき年で、日本・ブラジル交流年があり、現地では実行委員会がすでに準備を進めているので、成功のお手伝いができればと思っています。また、赴任後すぐに語学を勉強して、簡単なスピーチは1年くらいでできるようになりたいですね。

Q:本誌読者へ一言お願いします。
ー昨年は日豪交流年があったように、日本とオーストラリアは今まで以上に親密な関係になると思います。これからは、各々のできる範囲で日豪の友好関係の向上を促して欲しいと願っております。


 社会
  「Fine Food Perth」開催

 最新のキッチン用品、飲食物などを展示する「Fine Food Perth」が3月25日から27日の3日間、Perth Convention Exhibition Centreで開催された。この展覧会は、西オーストラリア州農業・食品省(Department of Agriculture and Food)とオーストラリア貿易促進庁(Austrade)の協力で行われ、食品、ホスピタリティ産業の関係者に開放された。会場には海外からのブランドを含める140以上のブースが設置され各ブランドは新商品などを積極的にアピール。訪れた人々は試食や試飲をしながら展示者と意見交換をするなど、会場は活気に満ちていた。隔年行われるこの展覧会のエキシビジョン・マネージャー、Minnie Constan氏は「2005年に開かれた最初の展覧会では、その後たくさんの展示者が西オーストラリア州のスーパーなどから出荷の依頼を受けたと聞きました」とこの展覧会の意義を語った。
 会場にてキッチン器具の展示者は、今回の展覧会について「私たちにとって新製品を紹介する素晴らしい機会です」と語った。また、国際的に有名なシェフによる料理コンペティション「WA Oceanafest」も同会場で行われ、多くの来場者がその場で作られた料理を楽しんでいた。


取材協力:Department of Agriculture and Food, Diversified Exhibitions Australia

西オーストラリア州農業・食品省がサポートをして、
地元の小規模な食品業者を集めたブース

一流のシェフの料理に舌鼓をうつ来場者たち


 音楽
  人気ヘビーロックバンド「Boris」 パース上陸!

1992年の結成以来、様々なジャンルのロックやメタル音楽を取り入れた個性溢れる音楽で、世界中で注目を浴びる日本人バンド「Boris(ボリス)」が、アメリカのバンド「Sunn O))) (サン)」とパースにやってくる!そこで、ドラムとボーカルを担当するAtsuoさんに今回のツアーに関するインタビューを行った。

初のオーストラリア・ツアーに至ったきっかけは何ですか?
ー最初に「Sunn O)))」との日本のツアーを計画していて、「『ボリス』はオーストラリアには行ったことがなかったから、オーストラリアも行きたいね」って話になったからなんだ。

パース公演への意気込みをお願いします。
ーオーストラリアは初めて行く土地だし、僕らのウェブサイトにもオーストラリアからの書き込みがたくさんあるから、待っている人たちの前でプレイできるのは凄くうれしいことだね。『音楽によって生まれた繋がりを確認しに行く』、僕らにとってツアーとはそんな意味合いだね。

読者へメッセージをお願いします。
ーいろんな国をツアーして回ってるけど、家に帰る度に「また帰ってきた、生き残れた」といつも思う。ツアーはいろいろ危険なことと隣り合わせでもあるし、人はいつ死ぬかわからないからね。次はいつ会えるかわからないから、是非ショウに足を運んで楽しんでいって欲しいな。


<パース公演日程> 日時:5月3日(木) 場所:Club Capitol, 393 Murray St, Perth
チケット:www.heatseeker.com.au, Star Perth, Mills Records, Planet Video, Beat Music, 78 Records


取材協力: Boris, Irene Jarzabek Publicity


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