パースエクスプレスVol.108 2007年1月号


≫ 歌手・湯原昌幸さん タレント・荒木由美子さん 夫妻
≫ 海洋冒険家 白石康次郎


芸能 独占インタビュー【後編】
  歌手・湯原昌幸さん タレント・荒木由美子さん 夫妻

ついに実現! 結婚24年目
念願の新婚旅行でパースへ


先月号につづき、結婚24年目にして念願の新婚旅行でパースを訪れた、歌手の湯原昌幸さんとタレントの荒木由美子さん夫妻への独占インタビュー後編をお届けします。 昨今、熟年離婚や高齢化社会がもたらした諸事件など、様々な問題が取り沙汰されている中、夫婦円満の秘訣などをお伺いしました。
レストランで行われた披露宴で歌を歌う湯原さん、そしてその湯原さんにそっと寄り添う荒木さん
芸能界でもおしどり夫婦として有名なお2人の夫婦円満の秘訣は?
ナチュラルに生きるってことだろうね。自然体で。
湯原はやさしいんですけど、厳しい人なんですよ。淡々と自分のペースを崩さない。出会った時の気持ちを忘れちゃいけないっていう男と女の部分を忘れさせない緊張感があります。それと、13歳という歳の差からいつも尊敬の念がありましたし、何よりもお互いへの感謝だと思います。それを忘れたことがないですから。
僕から言うと、緊張感はね…、もう次の結婚はあり得ないっていうその緊張感。つまり、彼女ともし何かで別れちゃったりした時の自分は考えられない。それと、おふくろを面倒みてくれたこと、子育てしてくれたこと、俺のサポートをしてくれたこと、いっぱい感謝の気持ちがあるね。
湯原と出会った16歳の時も、結婚したての時も、今も同じ気持ちで、何一つ変わってないんですよ。
変わらないってことが、もしかしたら秘訣かもしれないね。当然、お互い歳を取ってるんだから、そんなにキャピキャピのフレッシュじゃないかもしれないけど、でも毎日は変わらないで生きていきたいと思っている。あとは、演じてでもいいから一生懸命努力することだよね。些細な食い違いって毎日あるわけだから。それをお互いに補って、余りある生活をしてると、セーフってことだよね。
私達は思っていることを全部言葉に出すんですよ。いつもたくさん話すし、ありがとうも、悪いも、愛してるも、ぜ〜んぶ、そのままがいいんですよ。
日本人はなかなか言わないもんね、そういうこと。夫婦が一番小さなコミュニケーションで、あとは増えてくだけだから。ひとりの渦が、キャラクターがあるわけでしょう。この渦がいい具合に一緒になると大きな渦になるんですよ。いつも動いてないと!グッ〜と、止まりそうになったら、またグッ〜と動く。繰り返しだね。
わたしはもう乗り遅れないように一生懸命ですよ!
それができない人はダメだね。止まってきたら、もういいやなんて思っちゃだめだと思うよ。若いうちはとくにね。みんなで渦を作るんだよ。そうすると悔いのない人生を送れると思うよ。
お2人の今後のご予定は?
来年60歳なので、60歳で紅白に初めて出るおじさんになろうと思って。そういう何か目的がないとね。60歳でだめだったら61歳で、みたいな。あとは、だんだん体力も衰えてくるだろうし、歌ってやっぱり体力勝負だから、たとえばお芝居だったり、司会だったり、日本だけというよりは、遠くの人にも届く仕事ができたらいいね。
コマーシャルや講演などを全国でやらせて頂いていますが、今まではおばあちゃんの介護のことだったんですけど、これからは夫婦や家族など、女性にテーマをおいた生き方みたいなものについて関わっていけたらと思っています。歌は今後、2人の記念の曲を1曲作りたいですね。2人の思い出の曲だったらアリかな、と。
写真・資料提供: Chris Huzzard , Hav Mercy k.k.
【プロフィール】
湯原昌幸 1947年(昭和22年)生まれ
グループサウンズ・ブームの中、『スウィング・ウエスト』に入団し『雨のバラード』が120万枚の大ヒット。新曲『都忘れ』は、団塊の世代に贈る人生の応援歌シリーズ4作目として、『夢なかば』『人生半分』『冬桜』につづく。『冬桜』は、第37回有線音楽優秀賞を受賞しているロングセラー。
荒木由美子 1960年(昭和35年)生まれ
人気アイドルとして活躍していたが、23歳の時に結婚、引退。2004年、子育てと介護を終え芸能界に復帰し、介護に関する本『覚悟の介護』を出版、各地で講演も行っている。


スポーツ 白石康次郎選手 独占インタビュー
  海洋冒険家 白石康次郎

夢を叶えるために大切なことは
「まっすぐ」 「素直」
「仲間を大切にすること」


12月7日午後22時00分27秒、単独世界1周ヨットレース「Velux 5-Oceans」のクラスⅠに初の日本人として参戦中の白石康次郎選手が、第1寄港地である西オーストラリア州のフリーマントル港に姿を現した。1位から3日ほど遅れるものの、2位という好成績だ。スタート地、スペインのビルバオを出発してから46日ぶりに大地をしっかり踏みしめる白石選手。喜びと安堵の表情を浮かべながら、到着を心待ちにしていたシェアクルー達と抱きあう光景からは、仲間を思いやるチームワークの良さが伝わってきた。フリーマントル港出発までの約1ヶ月間、今大会のレースで最も重要となる寄港中の船の整備を重点的に行った。白石選手は1月14日、2つ目の寄港先、アメリカのノーフォークを目指し、再びマストを広げ船を走らせ始めたばかり。
今回は、寄港中の白石選手の独占インタビューをお届けする。
−レグⅠを2位で終えましたが、その感想はいかがですか?
「2位というのは身にあまる成績で、まさか2位になれるとは思っていなかったです。日本人で初めてのクラスⅠへの挑戦なので、今回の目的はしっかり走って、あわよくば表彰台に上がれればいいかな、といった感じでした。現状での2位については、シェアクルーやサポーターは喜んでくれましたが、僕にとっては驚きでしたね」

−白石さんは単独での航海をたくさん経験されていますが、たった1人での冒険でいまだに慣れないことや大変なことはありますか?
「いまだに慣れない事は船酔いですね。乗る度にダメですね。後、1人というのは、同時に2つのことができないということですから、決断力が大切になってきます。今何をするべきか、を一瞬にして決めないといけない。判断を間違うと取り返しがつかないことになるので、シングルハンドの場合はこの決断力が問われるんです。これが1番大変なことですね」

−常に平常心を保ち続けていると思いますが、海の上で不安を感じたり弱気になったりすることはありますか? またそんな時はどのようにして平常心を取り戻しているのですか?
「そんな時は座禅をします。姿勢を正して呼吸をし、10〜15分の座禅です。座禅をすると気持ちがクリアになりますからね。いつ何時何が起こるか分からないので、常に平常心を保つことが良いと思います。後は、デッキで木刀を振って雑念を取り払い、集中力を高め、平常心を保っています」

−世界1周するために必要なことは何ですか?
「スリルや冒険が好きなわけではなく、好き好んで海に出ていくわけでもないので、前半はいつもモチベーションが上がらず、後々上がっていきますね。でも、そこをクリアしないと世界一周はできません。大きな志を持つことはいいことですが、やってることは非常に繊細で、細かい作業の積み重ねだということです。僕の場合は、石橋を叩いて、壊して自分で作って渡るタイプですね。1回間違うと終わりなので、いい加減なことはできません。なので、行動に冒険はないですね」

−このレースの見所は何ですか?
「このレースは、1つのことをできてもダメなんです。大事なのは総合力ですね。良きスポンサー、良きツーリング、良き仲間、良きモチベーション、良きスキッパー、良き気象学、そして良き運。全ての要素が集まってできている。2位というのはその表れで、僕は2位を獲得したわけじゃなく、結果的に2位になったんです」

−家族とのコミュニケーションはどのようにとっていますか? 淋しくなったりしませんか?
「最近、船に電話が付いたので通話ができるようになりましたが、たまに女房に電話すると『忙しいから』と切られてしまうんです。冒険慣れしているんですよね(笑)」

−白石さんが本大会に出場することにおいて奥様の反応はどうですか?
「女房は、“ヨットで世界1周”することについては理解していないですね。ただ、僕が命がけで取り組んでいるということを大切にしてくれています。つまり命がけで世界1周しているということを女房は理解してくれていますね。これが大切なことだと思います。男と女は考え方が違うから、そこを否定するわけではなく、お互いに支えあっていきたいですね」

−夢を叶えるために必要だと思うことは何ですか?
「いろんなことをやってきましたが、志を持ってまっすぐであること、素直であること、仲間を大切にすること、それ以外は何もいらないですね。こうすることが、1番の夢への近道じゃないかな。素直になるということは嘘が無いんです。嘘が無いということは強いんです。何も恥じること、隠すこと、怒ることがないということは、とても気持ち良いことです。これ以上強いことはないと思いますね」

−次の夢は何ですか?
「50歳くらいになったら引退して、今度は若い人たちのサポートをしたい。僕も先輩のおかげでここまできたから、今度は子供たちに教えたいと思いますね。今までの経験を子供たちにバトンタッチして、初めて人生(夢)が完成する。僕の培ったものを渡してやっと一人前になるんじゃないかな」

−白石さんの感じる海の魅力を教えてください
「まず、海はデカイ。壮大さが1番かな。ときに厳しく、ときに優しく、ときに激しく、ときに美しく、本当に僕を鍛えてくれる。それが何よりですね。海だけでなく、満天の星。宇宙に溶け込んで一体となる感じを頭じゃなく身体全身と心で実感できますね。これがシングルハンド世界1周の魅力であり、海の魅力だと思います」

−レグⅡへの意気込みを教えてください
「自分のスタイルを変えずに、なんとか順位をキープしたいですね。だんだん欲が出てくるので、自分の欲を殺して平常心を保たないといけないですし。後は、ベルナーム選手(1位)に追いつきたいなと。まぁ、船と相談しながら良いレースをしたいと思っています。そのために、ここ(フリーマントル)でいかに良い整備ができるかで今後のレース展開が決まってきます。アメリカのノーフォークからスペインのビルバオまでは2週間しかないので、長い航海に備えるためのこのフリーマントルは、レース最大のポイントですね」
白石 康次郎 (しらいし・こうじろう)
1967年、東京生まれ鎌倉育ち。神奈川県立三崎水産高等学校 専攻科(機関)卒業。1986年、故多田雄幸氏に弟子入り。1990年、太平洋単独縦断に成功。1993年、世界最年少単独無寄港世界一周を達成(26歳)。そして現在、「Velux 5-Oceans」に挑戦中。「人生で大切なことは海の上で学んだ」ほか著書も出版。
白石選手のWeb www.kojiro.jp/ではブログも掲載中。




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