最初の禁断症状が出たのは、その日の夕方キャシーズに行くためにズボンにアイロンをかけているときでした。
それまで背中を見せながら静かに寝息を立てていたはずのMADISONが急に起きあがったかと思うと、からだに毛布を巻きつけるようにしながらバスルームに飛び込んで行ったのでした。
あっけに取られたまましばらく様子をうかがっていた僕は、微かに聞こえてくるバスルームの中の様子から、彼女がモーレツに嘔吐しているらしいことを知りました。
僕は、以前チャーリーから聞いたSPEEDの禁断症状の話を急いで思い出しながら、今の自分に何が出来るのかを頭の中で考えました。とにかく、こうなった以上、今晩仕事に行っている場合ではありませんでした。
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僕は物音を立てないように部屋を抜け出すと、表の公衆電話からキャシーズに連絡を取りました。
「チャーリー、僕だよ。」
「よお、色男。また今晩もジャンキーの姉ちゃんか?」 |