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パースエクスプレスVol.145 2010年2月号

 筆者はここパースに住んで20年近くになるが、その間、つねにここでの暮らしを無意識に日本と比較してきたんではないかと思う。日本では考えられないことが起きたりすると、最初はインパクトを受けるが、そのうち慣れてしまい、当たり前になってしまう。逆に日本では当然だったことが、どこかおかしいと感じることもしばしばあった。異文化の中で暮らすというのは、そういったことの連続かもしれない。常識とは何なのか。異文化の中で日本の常識を押し付けてもはじまらない。やはり考え方に柔軟性がなければならないだろう。よく言われるオーストラリアでの時間感覚も、日本でのような時間厳守を期待するから失望するわけで、ある程度遅れるのはここでは当たり前と思えば、それほど腹も立たないだろう。自分がイライラしても、社会全体がそう動いていることを自覚することが大切だと思う。日本でしっかり教育を受け、社会人となった人には日本的常識が染み込んでいるわけだが、海外ではそういった枠を少し外してやることが必要かもしれない。むしろ、日本人にしたら非常識と思える部分を楽しめるくらいの方が異文化に適応できるんではないかな。もしかしたら国際感覚というのは、そんなところにあるのかもしれない。

 最後になるが、このコーナーでは筆者自身がいろいろと勉強させてもらったと思う。オーストラリアで起こったことが、日本でもあり、どうなっているのか、といったことを調べ、文章にすることを繰り返すうちに、両国の社会全体がよく見えてきたように思う。これは、機会があれば読者の皆さんにも是非お勧めしたいことだ。きっと何か新しい発見があるはずだ。また、筆者はこういった機会を与えてくれたパースエクスプレスの編集部の皆さんに深くお礼を申し上げたい。そして、長い間このコーナーに親しんでいただいた読者の皆さんにもお礼申し上げるとともに、またどこかでお会いできることを楽しみにしている。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。