日本は、議定書で約束した自国の削減ノルマである6%を達成するため、環境省で温室効果ガス排出削減効率のよいプロジェクトを発掘、後押しするための実施調査が1999年より行われており、京都メカニズムを考慮した方策が検討されている。しかしながら、削減コストが日本だけ群を抜いて高いという不利な状況を抱えているのが問題となっている。一方、ここオーストラリアの対応はちょっと複雑だ。オーストラリアの産業は温暖化防止に対して世界でもリーダー的存在であるが、国としては京都議定書を批准していない。その理由として、オーストラリアがエネルギー資源を中心とする第一次産業で成り立っていること。そして議定書に関して、温室効果ガスを排出する主要国がすべて締約しなければ、全体で約1%の削減しか期待できないと考えていること。また途上国による対策が明らかになっていないことなどを挙げている。更にオーストラリアでは、独自の環境保護対策(太陽光、風力)を講じている。議定書は画期的だが、環境問題の特効薬ではないといった声明を議定書の発行に合わせてオーストラリアは発表している。確かに議定書には多くの問題が指摘されているようだ。

オーストラリア、日本が加わるという米国中心の新協定はクリーンで効果的な技術の開発と普及を通じて気候変動への対処を目的とするという(環境省7月28日発表「クリーンな開発と気候のためのアジア太平洋パートナーシップ」より)。果たしてこの協定によって、オーストラリアが期待するほどの効果が得られるのだろうか。またこの協定であれば米国は自国の経済にダメージを受けずに済むのだろうか。世界規模で合意された環境破壊対策も、自国にとって問題があれば都合のいい内容に作り変えて参加者を募ればいいといった感じを受けてしまうのは筆者だけだろうか。 京都議定書に関する日、豪の対応を詳しく知りたければ、以下にアクセスしたらいい。(www.greenhouse.gov.au/international/kyoto/)

 

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 

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