環境破壊はどの国にとっても深刻な問題であるが、ここオーストラリアでも人々の環境破壊に対する目は厳しい。海や河川そして大気の汚染、森林の伐採など、メディアに登場する頻度も増えてきている。そして、こうした環境破壊問題は各国レベルで解決しているわけだが、ここにきて、世界規模の地球温暖化という深刻な問題が表面化している。この問題の対策として、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減するわけだが、これに先進国が取り組み、世界レベルで合意されたのが京都議定書だ。しかし、最近のニュース(読売新聞サイト7月28日)によると、議定書から離脱した米国が日本、オーストラリアなどアジア太平洋地域の5ヶ国と地域協定を結び、地球温暖化の防止を目指す新しい自主的な勢力になるということである。議定書の締約国ではないオーストラリアが米国と協調し、締約国である日本は京都議定書を補完するものとしてのこの協定に参加するということであるが、各国それぞれ国の事情があるとはいえ、何だかことが複雑化した感じがする。今回はこの地球温暖化問題について、日、豪、両国の対応を見てみよう。

まず、地球温暖化防止を考える上で重要となる京都議定書とはいったいどんなものなのか、その内容を簡単に紹介しよう。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を先進国の間で法的に拘束するといった内容で1997年12月に合意されたのが京都議定書だ。これによると、1990年の排出量を基準とし、2008年から2012年の間に先進国全体で少なくとも5%削減を目標にしている。そしてこの目標を達成するための手段として、京都メカニズムと呼ばれる3つの方法を定め、対策コストを抑えられるようにしている。排出量の取引(排出量を多く削減できた国が、基準以上に削減できなかった国に対して「排出権を売る」という制度)といった市場原理を導入しているのが特徴だ。今年の2月16日、この議定書が発効し、現在では国際法としての効果をもっている。
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