パースエクスプレスVol.115 2007年8月号

前回は、パース近郊の不動産高騰について紹介したが、今回はその高騰に拍車をかけるかのように住宅購入者にとっての難問が登場した。8月8日より、準備銀行(日本では日本銀行)が公定歩合を6.5%まで引き上げることになり、それにより住宅ローンを抱える住民に大きな負担を強いることとなった。近年、頻繁に実施される公定歩合の引き上げに何度も打撃を受けてきた住宅購入者だが、今回の実施で住宅購入を放棄する住民も少なくないという。今回はこの問題について少し考えてみよう。

公定歩合は準備銀行が民間銀行に融資する際の金利だが、今回、実施される公定歩合6.5%という値は、現首相のジョン・ハワード政権になった直後の1996年11月以来の高値になるという。そして、これは2004年の選挙以来5度目の引き上げとなる。今回の公定歩合引き上げの理由を「強い経済状況」「消費指向」「低失業率」「経済成長」などとしているが、「2006年に実施された3度の公定歩合引き上げで、すでにオーストラリア国民は傷ついている(8月7日 Sunday Times Online)」といった皮肉な表現もある。確かに度重なる公定歩合の上昇で一般住民は混乱し、家計がいっそう苦しいものとなる住民も出るだろう。政府の政策に対し、計画性の無さを実感している住民も少なくないはずだ。調査によると、回答者の42%が1年前よりも家計が悪化しているという。5%が住宅ローン返済困難を理由に住宅を売却した。また、4人に1人はかろうじて家計をやりくりし、17%が借金に突入しているようだ。こういった状況を考えると、現時点での住宅購入はかなりリスキーと言わざるを得ない。またこのような状況は賃貸住宅にも影響を与えている。現在、空きとなっている賃貸住宅数は極端に少なくなっている上、賃貸料が大幅に値上げされている。まさに住宅難といったところではないだろうか。

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