さて、オーストラリア、メルボルンでも類似したケースで、現在も長期で服役中の日本人がいるのを知っているかな。「メルボルン事件」と呼ばれているが、1992年10月、マレーシアを経てメルボルン入りしようとした日本人観光客グループ4人と同行者1人が、クアラルンプールでスーツケースを盗まれ、替わりにツアーガイドから贈られたスーツケースを使用して入国しようとした際、スーツケースの中から合計13キログラムのヘロインが見つかったということだ。そして、その後の警察での取り調べでは、通訳の質の問題もあって、事件は混乱してしまうが、結局、口実に疑わしい点があるとして、2年後に全員が有罪判決を受けることになる。4人が懲役15年、1人が25年(後に20年)である。
筆者は、彼らが無実であると信じたいが、問題はこのケース以外にも日本人が平和ボケしているせいなのか、海外で騙されやすいということではないかな。海外で妙に親切な人に出会った場合、特に注意しなければならないのは常識である。また出先の治安や法律も少しは知っておく必要があるな。そして、日本で犯罪になるようなことは、海外でも同様だと考えるべきだろう。

2003年1月時点、薬物犯罪で海外の刑務所で服役中の日本人は42人、懲役5年以上がそのうち31人という(外務省 海外安全ホームページ・海外邦人事件簿Vol.3より/www.anzen.mofa.go.jp/jikenbo/jikenbo03.html)。中には騙されて犯罪者となってしまった人もいるだろうが、海外では騙される方が悪いといった通念もある。残念ながら、むやみに人を信じてはいけないということなんだ。日本人の中には、海外に出ると解放感に浸ってしまい、通常では考えられないようなことをする場合があるが、こういったことが事故や犯罪につながるようだ。気持ちはわかるが、もっと頭を冷やしてほしいな。今回の麻薬事件から、海外では自分の身は自分で守る必要があるということを十分心得てほしい。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 

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