パースエクスプレスVol.109 2007年2月号

2月に入り、年間を通じて一番暑い時期を迎えたここパースだが、どうも例年と様子が違うような気がする。比較的穏やかな気候が続き、気温もそれほど上がらず、夜間は膚寒さを感じるほどであったと思えば、突然襲ってくる熱波で気温は40度を超える。気温の変化が激し過ぎるのだ。そして、こういった気候の異変を指摘する記事も新聞紙上で目立つようになったが、今回、その中でもパースにとってショッキングな報告を目にしたので、ここで簡単に紹介しよう。

昨年は、オーストラリアを襲った大干ばつで大きな被害、損害が出たが、まだ問題が解決したわけではない。パースでも例年の6割に満たない低降水量を記録し、水の確保が深刻化している。乾燥が原因で、各地で発生するブッシュファイアー(森林火災)も後をたたず、地球の温暖化進行とも感じさせられるが、この度「パースは、気候変化の影響を顕著に受ける最先端の都市である(2月4日、The Sunday Times)」という記事の中で、地球の温暖化の影響は世界中でオーストラリア南部が最も大きく、中でもパースは世界初のゴーストタウンになりうる、といった科学者からのコメントがあった。IPCC(気候変動に関する政府間パネル*)によると、地球の温暖化は明らかに人間の行動によるものとし、メルボルンで開催された学会(2月2日)でも、IPCCが報告した地球の気温が2〜3度上昇することにより発生する、干ばつ、熱波、海水位の上昇等などの予測が支持された。予測によると、2100年までには海水位が58cm上昇し、オーストラリアのビーチは水没する恐れがある、という。そしてその時には、現在オアシスであるパースが、ある著名な学者が指摘するように、人が住めないような砂漠と化してしまうのだろうか。このまま温暖化が進むと、100年以内にこのようなことが十分に起こりうるというから驚きだ。思えば、昨年からの記録的な雨不足、時々襲ってくる熱波、大型のサイクロンといい、それらしき兆候が表面化している。勿論、何らかの対策が必要なわけだが、西オーストラリア州だけではどうにもならない。全世界的に温暖化防止に取り組まなくては意味が無いだろう。京都議定書もいいが、批准国がいくら頑張っても他の国がやりたい放題なら、結果的にどれほどの効果が得られるのだろうか。ここまできたら、もう経済発展云々よりも、自分たちの住む環境を優先させなければ、地球は終わってしまうだろう。

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