生活空間が広いオーストラリアだけあって、人々の移動の脚として車は必需品だ。通勤はもとより、週末の買出しとなると、車無しでは不便きわまりないな。ここオーストラリアでもアメリカ同様、車社会が形成されているのだ。しかしそんな車社会に、このところショッキングなことが続いている。ガソリン小売り価格の高騰だ。価格高騰のニュースがテレビ、新聞に頻繁に登場し、一体どこまで値上げしていくのか、といった人々の不安を煽っている。今回はこのガソリン価格高騰について、日本の状況も考えながら探ってみようか。

 以前、オーストラリアではガソリンの方がミネラルウォーターより安い、なんて言われていたことがあったが、もこれも過去の話になってしまった。去年までレギュラーガソリンが、1リッター当たり1ドル10〜20セント台であったのが、今年になって頻繁に1ドル30セント台となり、4月末には一時1ドル40セント台に突入した。このまま行けば1ドル50セント突破も有り得るんじゃないかと思ってしまうな。一体この価格高騰の原因は何なのだろうか。

 オーストラリアのガソリンの小売り価格は、製造コスト、税金、小売りマージンの合計となっている。販売される値段がスタンドによって違うのは、小売りマージンを各スタンドが独自に調整しているためだ。税金は2001年より、経済状況に応じ、6ヶ月ごとに決定されていて、現在は1リッターにつき約51セントとなっている。価格に最も影響を与えているのは製造コストなんだが、これが原油価格にほぼ連動して変わり、この原油価格が上がる、もしくは上がると予想された時に、ガソリンが大幅に値上げされるわけだ。去年までの原油の値上げは、産油国での生産に余裕がなく、将来の原油供給不足を市場が心配したことより起きた世界的なものであったんだが、今年4月に入ってからはイランの濃縮ウラン製造問題が原因となって、原油価格が高騰した。OPEC内で第2の石油生産量を持つ国だけに、イランの今後の対応が石油消費国に大きな影響を与えるだろうな。

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