Vol.185/2013/06
|
6月4日、サッカーW杯のアジア最終予選の日豪戦をオーストラリアで観戦しましたが、ちょっと複雑な気持ちになりました。
オーストラリアに来て3年が経ちます。将来は、永住したいと思っています。オーストラリアが気に入りました。人も環境も、自然も全て、今の自分が求めているものがここにはあります。別に、日本が嫌になった訳ではありません。ただ、今はオーストラリアに永住することしか頭にはありません。
サッカー観戦は、オージーの友だちの家でした。「ビールでも飲みながら、みんなで楽しく観ようぜ!」と誘われ、僕はお酒が飲めないから、ジュースとお菓子を持参して、その友だちの家に軽い気持ちで行きました。その家には、その友だちの友だちも来ていて、全部で10人ぐらいのオージーがいました。日本人は僕一人でした。試合の前半は結構、両チームとも一進一退でしたので、友だちと「グッド・ゲーム!」と言いながら、ジュースを片手に楽しく観戦していました。他はみんな、ビールを水のように飲んでいました。前半が終わり、お互いに相手国の選手を誉めあったり、気持ちに余裕がありましたが、後半が始まり試合終了まで10分を切った時、日本が失点してから、自分の中の気持ちが大きく変化するのを感じました。
まず、友だちが半狂乱になって喜んでいる姿が許せなかったのです。それと、最初はどちらが勝っても良いと思っていましたが、思った以上に自分がガッカリして、動揺したことも。あと、オーストラリア人選手のこととか誉めていたけど、「得点、おめでとう」なんて、口が裂けても言えないと思い、友だちの「日本は負けても、まだ勝ち点に余裕があるから。オーストラリアに勝たせてくれるんだねぇ?!」と嫌味を言われた時の怒りも。
ただ、試合終了直前に同点へ追いついた時は、腹の底から嬉しかったです。テレビの前にはオージー10人に対して1人の日本人だったので、全身で喜びを表現するのは気が引けましたが、日本語で自然と「ありがとう」とつぶやいてしまいました。そんな喜びにもっと浸っていたかたのですが、すぐさまオージー(軍団)の一人が「○uc○」を連発して、日本人選手の悪口を言い出したのです。その時は、さすがに怒りから殺気まで感じてしまいました。
自分が日本代表としてプレーしているわけでもないし、サッカーもそこまで興味があるというわけでもなく、日本を背負ってオーストラリアに来ているとも思っていませんが、とにかく日本の国やチーム、選手の悪口を言われていると、自分に言われているように聞こえ、頭に血が上りました。試合結果は1−1の引き分けでしたが、もしこれで勝ち負けがついていたら、勝っていても、負けていても自分は正気で友だちの家を後にできただろうかと、今更ながら不安を感じます。
さて、オーストラリアが好きで、将来はオーストラリアで生活して、オーストラリアで家族をもちたいと思っています。それぐらい、オーストラリアが好きです。ただ、今回の一件は、その希望が客観的に見られていなかった、そして僕は日本人なんだ、ということを改めて気付かせてくれました。
<投稿者>南十字星 24歳 男性