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あなたの言いたいこと
Vol.161/2011/6

今回は、以前このコーナーに掲載された投稿を読み、ご自身についても書いてお送りいただいた日本人女性からの投稿です。

「ブスは損だと思ってたけど…。」

 このコーナーで、以前“私は可愛くない”と書かれた投稿(編集部注:Vol.154、2010年8月号)をパースエクスプレスのホームページで読みました。思うところがあり、私も投稿します。

 パースに来た頃、友だち欲しさに誘われればどこにでも行ってました。シェアメイトの語学学校のクラスでBBQをやると聞けば、知り合いの友だちでも構わないと思い、図々しく顔を出したり、飲み会もほとんど断らずに出席していました。パースでの生活は、自分にとって“再出発”だったので、一度も面倒くさいとは思いませんでした。

 でも、“再出発”と思っているのは自分だけで、周りの人はそうは思っていませんでした。当然ですよね。そんなことは、言わなければわからないし。なので、周りの人の私に対する態度は、日本と全く一緒でした。BBQの時も、飲み会の時も、私への注目は、とにかく最後なんです。いや、注目なんてありませんでした。そんな周りの態度が嫌だったから、海外に出てきたといっても言いすぎではないのに、何も変わりませんでした。

 理由はただ1つです。私がブスだからです。

 「ブスは損をするのか?」という質問には、ブスしか答えられないでしょう。しかも、中途半端なブスでもダメです(笑)。答えは、イエスです。「初対面の時の印象がマイナスなだけ」とか、「人柄が顔に出るから関係ない」とか、「人にはそれぞれ好みがある」なんてキレイ事を言う人がいるかも知れませんが、もしその人が女の人だったらブスじゃないんでしょう。本当のブスの気持ちは分かってないですね。

 こんなことを言うと、いっぱい反感を買いそうですが、例えば、ブスを長所として売りにしている人たちがいるのは知っています。その売りが、好感を買うケースもあります。たとえば、お笑いの世界で活躍する女の人たちなんか特に。でも、よく考えてみても、それは稀なケースです。
 一つ言っておきますが、世界中の女性で、自分がブスだなんて思っている人は、そうそういないでしょう。「もしかして」ぐらいの認識で、自分が本当にブスなんて思っている人はいないかもしれません。そうなると、これを読んでいる人は、私のことを被害妄想の強い人間と思うかもしれませんが、私はちゃんと自分で自覚している、ブスなんです。

 すみません、ブスって容姿のブスか、心のブスかをはっきりしていませんでしたね。私が言っているブスは、容姿です。自分で言うのもおかしいですが、心は美しいと思っています。容姿がブスなだけで、心は美人です(苦笑)。

 話が反れましたが、とにかく、ブス扱いされる社会から逃げたくて、日本を脱出したつもりだったんですが、状況は変わりませんでした。しかしある時、友だちが誘ってくれたピクニックに付いて行ったんです。その友だちは、オージーと結婚していて、そのピクニックに来ていた人は、ほとんどがオージーでした。そのピクニックは、本当に健康的で、朝の10時頃からスタートしました。真っ青な芝生の上で持参した折りたたみの椅子を円の形に置いて、その円の中では子供たちが遊ぶ、といった光景でした。実は、私にはちょっと刺激が弱いかな、と思っていたんですが、そこで驚くことが起きたんです。なんと、周りの人たちの自分への注目がいつもと違うんです。最後か、それとも無いのが当たり前なのに、この時は最初だったんです。しかも、途切れることなく私への注目は続きました。

 「あっ!そっか、日本人と一緒にいたら、日本と同じことが起きるに決まってる!」って気付いたのです。簡単なことだったけど、その時は無我夢中だったので分かりませんでした。これも後で気付いたことなんですが、そのお友だちも似たもの同士で、決して容姿端麗とは言えない人でした。

 この注目度に味を占めた私は、以後、ほとんど日本人とは関わらず、オージーの友だちとばかりと遊びました。バーに行けば、オージーとはすぐに友だちになれるし、ナイトクラブに行けば、ボーイフレンドがすぐにできました。毎日が楽しかったです。海外に出てきて、本当に良かったと思いました。

 さて、今はオージーの旦那と2人の子供がいます。パースに来た頃のことを思い出し、書いてみました。ブスは損だと思っていた人生でしたが、今は180度、その考えは変わっています。幸せな人生を送っています。

 最後に、ブス、ブスって何度も言い、あまり良い言葉じゃないし、気分を悪くする人がいることは分かっていたんですけど、今の幸せな自分がいるのは、この“ブス”だったからなので、感謝と愛情を込めた“ブス”だったとうことで、ご容赦下さい。

<投稿者>匿名希望 女性/45歳